境界確認が出来ていない土地を購入して良いのか?
土地の売買をするときには、測量をして境界確定をしなければ行けないという決まりは特にはないんです。
なので実際に不動産の売買というのは、測量、境界確定をしないいわゆる公簿売買というのが多く行われます。
私としては、不動産の売買では測量、境界確定を行わない公簿売買ではなく測量をする実測売買をおすすめいいたします。
今回の動画を見ていただければ、公簿売買のデメリットと実測売買の必要性がわかります。
ぜひ最後までご覧ください。
それでは、公簿売買ではなく実測売買をおすすめする5つのポイントをお話します。
1つ目は、土地の売却が難しい
2つ目は、塀などの囲障の設置が難しい
3つ目は、地積更正登記が難しい
4つ目は、分筆登記が難しい
5つ目は、心の安定が難しい
それでは
1つ目は、土地の売却が難しい
買主さんにもよりますが、特に不動産業者さんが買い主になる場合は、測量、境界確定が売買の条件になることがほとんどです。
境界確定が出来ていない土地については、不動産業者さんには売却が難しいということになります。
売却をするためには、エンドユーザーさんを買い主として見つけるほかないということになります。
境界確定が出来ていないということで、売買代金にも影響する可能性はあります。
不動産というのは、換金するのに非常に時間のかかる資産です。
売却をするのに1年、2年と時間がかかることはよくあります。
できるだけスムーズに売却をできる状態にしておくのが大切だと思います。
できるときに測量、境界確定をすることをお勧めします。
2つ目は、塀などの囲障の設置が難しい
隣の土地との境界線が不明であったり、争いがあったり、合意に至らない場合には、
境界線に生け垣とか、フェンスとか、塀を設置することはできません。
仮に黙って境界線に塀を設置しても、隣の人に取り壊してくださいという話になってしまいます。
塀などの囲障を設置するためには、やはり隣の人との境界確認が必要になります。
境界と思われる位置より内側(自分の敷地側)に30センチとか50センチとか下がって、
フェンスなどの囲障を設ける人がいますけど、これは絶対にやらないでください。
自分の敷地側に下がって、フェンスなどを設置してしまうと、隣の敷地の人はフェンスまでが自分の敷地として使用します。
エアコンの室外機や物置を置いて、植木などを栽培します。
次第に隣の人も、フェンスまでが自分の敷地だと思いこむようになります。
そして民法の時効取得という規定もあります。
隣の人が善意無過失(他人の所有地であることを過失なく知らない状態)で10年間土地を占有した場合には、時効取得が成立することになっています。
また隣の人が、悪意(他人の所有地だと知っている状態)で20年間土地を専有した場合にも、土地を時効取得が成立することになります。
土地の境界がわからないから、自分の敷地側に控えめに、塀などを建てるのではなく、ちきんと境界確認をした上で塀などを設置することをおすすめします。
3つ目は、地積更正登記が難しい
地積更正登記は、登記されている土地の面積を正しい面積に訂正をする登記です。
登記されている面積って、正しいと思っている人が多いと思います。
でも実際に測量してみると違うことが多いです。
登記の土地の面積が100㎡なのに対して、測量をしてみると90㎡しかないとか、
あるいは110㎡あるということはよくあります。
このような場合には、測量をして地積更正登記をして正しい面積にすることが望ましいです。
固定資産税についても、銀行の融資額についても、売買代金についても、
測量をしていなければ、公簿面積(登記された面積)を基準に行います。
固定資産税は、実測が登記面積よりも多ければやすいということになりますが、
実測面積が少ない場合は必要以上に高く払っていることも考えられます。
融資の金額も売買金額も、実際の土地の面積と違う金額で見積もられることも考えられます。
地積更正登記をすると地積測量図が、法務局で公開されて誰でも調査できる公的な資料になります。
この地積更正登記をするためには、測量をして隣との境界線の確認をする必要があります。
事前に測量をしておくことをおすすめ致します。
4つ目は、分筆登記が難しい
分筆登記って、土地を分ける登記なんですけど、宅地分譲業者さんからすると分筆が出来ないというのは、
その土地は商品にならないということなんです。
測量をして境界線の確認をしていないと原則分筆が出来ないので、商品化が難しいということになります。
土地の単位って、その土地の価格によっても変わるんですけど、標準的には1宅地100㎡というのが単位なんです。
200㎡の土地を持ってますと言っても、200㎡の土地はかなり高額になりますので1人で買える人というのは、かなり少ないということになります。
ということは100㎡づつの2宅地に分筆する必要があるということになります。
商業地でもなく、工業地でもない、住宅用地については分筆登記ができるというのは、
ある程度、面積がまとまった土地では必須条件となります。
その分筆登記をするためには、測量と境界確認が必要ということになります。
5つ目は、心の安定が難しい
境界線の争いというのは、時には損得感情を超越します。
そういう状況は何度も見てきました。
例えば、奥行き15mで幅20センチの境界を争っても、面積だと1坪に満たしません。
1坪の単価は、地域と条件によって50万円であったり、100万円であったり、150万円であったり、それぞれ違います。
ただ、境界を争ったらもっとお金がかかります。
土地家屋調査士に依頼して測量をして筆界特定の申立をする。
時効取得など他の要素も絡んでくれば、弁護士も入れて交渉することになります。
それにかかる費用と時間を考えたら、争わないほうが全然得です。
でも土地の境界の争いというのは、ある種特殊なところがあります。
そのことばかりを考えてしまう。
夜も眠れない。
時には事件にまで発展してしまう。
それが境界紛争とういうことなんです。
同じことをグルグル考える反芻思考に陥ってるおばあちゃんから、境界の相談を受けることもあります。
そういう時には、土地家屋調査士としてよりも心理カウンセラーになったつもりで、ひたすらおばあちゃんの話を傾聴します。
境界の問題よりも、心の問題になってしまいます。
なのでできるときに、測量をして境界確認をする。
境界標を設置して、図面と境界確認書を残しておくことが大事です。
筆界特定制度と言って、法務局に申請をして筆界線(境界線)を定める制度もありますが、
申請しても1年程度の時間がかかるということもありますし、多額な費用もかかります。
今は、ご近所さん同士は仲が良くて何の問題もない。
でも、相続や、土地の売却で所有者が変わるかも知れません。
海外に移住する人、借金作って行方不明になる人、とてもクセの強い人、いろんな人がいます。
測量して境界確認はできるときにやっておいたほうが、良いと思います。
それでは振り返ります。
1つ目は、土地の売却が難しい
境界確定が出来ていない土地は売却が難しいです。
売却が出来ても相場より安い金額になることもあります。
2つ目は、塀などの囲障の設置が難しい
境界線上に、生け垣、フェンス、ブロック塀を設置する場合には、
隣の人と境界線の確認が必要です。
3つ目は、地積更正登記が難しい
登記の面積を訂正する地積更正登記が出来ない。
固定資産税、銀行の担保評価、売買金額は登記された面積で考えるので、
実際の面積と相違することになります。
4つ目は、分筆登記が難しい
宅地の分譲では、分筆が出来ないと商品にならない不動産ということになります。
5つ目は、心の安定が難しい
境界の問題は、損得を超越して心の問題に発展します。