【Q&A】土地家屋調査士は副業で出来ますか?
皆様から寄せられたコメント欄の質問について抜粋して回答いたします。
今回の動画を見ていただければ、日頃のお悩みを解決できるかもしれません。
ぜひ最後までご覧ください。
それでは全部で8個の質問に順番で答えます。
必要なところだけ、選んで見ていただいも構いません。
Q1:建物表題登記を依頼する土地家屋調査士は、工務店やハウスメーカーが決めるものでしょうか
Q2:敷地の一部に、建物を新築します。敷地の分筆登記が必要と言われました。
分筆をしないとイケないのでしょうか?
Q3:分筆と分割という言葉は何が違うのでしょうか。
Q4:位置指定道路の持分を持っていいないが建物の建築確認は受けられますか?
Q5:道路のU字溝と境界の位置が離れている場合と一致している場合はどう違うのですか
Q6:公図しか境界の資料がない場合に境界はどのように決めるのか?
Q7:資格取得後に実務経験を積むのと、実務経験を積みながら資格の勉強をするのはどちらが良いか?
Q8:土地家屋調査士は副業としてできますか?
それでは1つ目の質問です。
Q1:新築住宅の建物表題登記を依頼する土地家屋調査士は、施主で自由に決められるのか?
それとも工務店やハウスメーカーが決めるものでしょうか
A:もちろん施主さんの選んだ土地家屋調査士に依頼することは出来ます。
ただし工務店さんやハウスメーカーさんは、知らない土地家屋調査士が関わるのを嫌がるかもしれません。
建物表題登記をするに当たり、関係者との連携が大事になるわけです。
銀行の金銭消費貸借、代金決済、引き渡しはいつか?
施主さんの住所の移転の時期
住宅用家屋証明は誰が取得するのか?
など連携をとる場面が多いわけです。
工務店さんやハウスメーカーからすると知らない土地家屋調査士が入ってきたときに、円滑にできるか不安というのがあります。
施主さんのほうで、信頼できる土地家屋調査士がいればそちらに依頼しても良いですし、
工務店さんやハウスメーカーから紹介された土地家屋調査士に依頼しても良いと思います。
2つ目の質問です。
Q2:現在住んでいる母屋を残し、納屋と古い居宅を取り壊します。
その取り壊したところに居宅を新築します。
その場合に新築した建物の敷地の分筆登記が必要と言われました。
分筆をしないとイケないのでしょうか?
A:この場合には融資を受けるのであれば、土地分筆登記が必要です。
この場合に土地分筆登記をしないと土地全体と母屋にも抵当権を設定するということになります。
銀行さんの場合は、その土地上にある建物はすべて抵当権を設定しますので、母屋も抵当権を設定ということになります。
抵当権の範囲を新築した建物とその敷地だけにするためには、分筆登記が必要になります。
3つ目の質問です。
Q3:分筆と分割という言葉は何が違うのでしょうか。
A:土地を分ける場合を分筆と言います。
土地の単位が1筆、2筆(いっぴつ、にひつ)と数えることから、1筆の土地を分けて2筆以上に分けるのを分筆と言います。
逆に2筆以上の土地を合わせて1筆にするのを合筆登記と言います。
建物を分ける場合は分割と言います。
主たる建物と附属建物として、1つで登記されているのを2つに分けて、主たる建物と主たる建物にするのを建物分割登記といいます。
ちなみに一棟の建物を分譲マンションみたいに各部屋ごとに登記するのを区分建物といいます。
土地は分筆、建物は分割、マンションは区分と言っています。
4つ目の質問です。
Q4:位置指定道路の持分を持っていいないが建物の建築確認は受けられますかか?
A:位置指定道路などの建築基準法上の道路は、その道路の共有持分(所有権)を持っていなくても、建築確認を受けることが出来ます。
もちろん通行したり道路を原則利用することも出来ます。
ただし法律上は、建築が出来て道路の利用をすることが出来ても、人の気持ちというのはまた別ということになります。
測量をしていますと近隣の人から「あの人は私道の共有持分がないから本当は利用する権利がない」なんて話が出ることもあります。
実際に2面道路に面しているところでは、共有持分をもっていない私道に出入り口を設けさせないなんてことはよくあります。
他の共有者から、通行を拒絶された場合は、判例からみると通行を確保するのが難しくなります。
位置指定道路の共有持分を持っていなくても建物の建築は出来ますが、不都合が起きやすいです。
他の共有者から持分を買い取るなどして、できるだけ共有持分を持っていたほうが良いと思います。
5つ目の質問です。
Q5:道路のU字溝と境界の位置が離れている場合と一致している場合はどう違うのですか
A:道路の構造物と境界の位置については、その市区町村によって違います。
さいたま市では、官民境界から5センチ離した位置に、L型側溝やU字側溝を設置しています。
集水桝については、5センチ逃したU字側溝と溝の部分を一致させることで、集水桝については官民境界と一致します。
ちなみに川口市では、官民境界と一致させてL型側溝、U字側溝を施工しています。
そのために民地から道路に越境物がある場合は、通常の10センチのL型ではなく5センチのものを使用していることもあります。
また測量の誤差や工事の施工の誤差がどうしてもありますので、場所によってはL型側溝やU字側溝などが民地に越境しているところも見受けられます。
あとは境界とは関係なく現況に合わせて、L型やU字側溝を設置する自治体もあります。
道路の構造物が境界の判断材料になることもありますが、必ずしも構造物の位置が境界とは限りません。
6つ目の質問です。
Q6:公図しか境界の資料がない場合に境界はどのように決めるのか?
A:公図というのは古いものは明治時代に作成されたものです。
当時は間縄と言って、縄に目盛りをつけて測量をしていました。
縄ですから雨で濡れると伸びて、乾くと縮むということもあって現代の測量と比べるとかなり精度が低いです。
こういったことから、登記より面積が増えるのを縄伸びと言ったり、逆に登記より少なくなるのを縄縮みと言っているのではないかと思います。
また明治時代は、測量する人員が足りなくて、専門家ではない一般の人が測量をしていたこともあるようです。
公図は、精度の低い図面なんですけど、とは言っても原始的な境界を示す重要な資料です。
公図から境界線の直線性であったり、隣地との位置関係、形状を判断します。
公図を現地を測量した図面とCAD上(コンピュータ上)で重ね合わせて判断することもあります。
境界の判断としては
・現地の状況
既存の境界杭、塀、生け垣、側溝、現地の占有状況(利用状況)
・関係者の証言
当該地、隣地の所有者、賃借人などの意見
・図面や書類など
当該地、隣地の所有者が古い図面など持っていないか
役所や法務局、場合によっては文書館に資料が残っていないかよく確認する
トータルで境界を判断するということになります。
7つ目の質問です。
Q7:資格取得後に実務経験を積むのと、実務経験を積みながら資格の勉強をするのはどちらが良いですか?
A:私の意見としては、独立開業するのが前提であれば実務経験を積みながら勉強するのをおすすめします。
独立開業のためには最低でも3年は実務を経験が必要です。
少しでも早く独立開業と考えるのであれば、やはり実務経験を積みながら勉強するということになります。
半年とか1年の実務経験で独立する人もいますが、独立した後に苦労してる人が多いです。
気になることとしては、調査士試験について、実務経験があると有利かそれとも不利になるのかという問題です。
一長一短は、ありますがトータルで言うと実務経験があることと試験の有利と不利については相関しないと思います。
実務経験のマイナス面としては、実務と試験とは微妙な違いがあります。
実務では正解なことが試験では正解とは限らないがあります。
これが初学者のうちは、とても混乱します。
実務経験がプラスに働く面としては、試験作成者としては実務経験者が有利になる問題を作ろうと思えば作れるということです。
特に書式では、「実務でこういうことあるよね」みたいな問題を作った場合には、実務経験者が多少は有利になると思います。
トータルで考えると時短という意味と必ず独立開業をする覚悟を決める意味でも、
実務経験を積みながら勉強するのが良いと思います。
最後、8つの質問です。
Q8:土地家屋調査士は副業としてできますか?
A:会社員との副業は、難しいと思います。
土地家屋調査士の場合は、包括的に補助者(他の人)に仕事を任せることはできないとされてます。
境界立会や登記の補正など土地家屋調査士本人がやらなければならない仕事も多いです。
会社に時間を拘束される会社員との副業は、難しいと思います。
ただ自営業で、司法書士とか建築士とか宅地建物取引業などと兼業されている人はたくさんいます。
自営業と違い、会社に時間を拘束される会社員との副業は、難しいと思います。
注意したいのは、名義貸しみたいな話です。
土地家屋調査士の資格者がほしいという会社は実はたくさんあります。
土地家屋調査士の業務にしっかりと携われる環境であれば、それも良いと思います。
土地家屋調査士の報酬を会社の売上にすることは違法となります。
あとは印鑑だけ押してくれれば、いくら払いますなんて話に乗ってしまうと大変です。
もちろん懲戒処分の対象になります。
そして職印を押した測量図面は永久に残ります。
もし、その図面に間違えがあれば損害賠償の請求を受けることになります。
目先のお金に釣られて、多額の損害賠償を受けたのでは大変です。
甘い話に乗るのは、絶対にやめましょう。
以上、8個の質問に回答致しました。
参考にしていただければ幸いです。
今回のように、コメント欄にご質問をいただければ、答えられる質問についてはまとめて回答いたします。