住宅を新築しました建物の登記をするのに注意することは?
住宅を新築するといろんな手続きが必要になります。
土地家屋調査士は、その中でも、建物表題登記を申請します。
その手続の中で関係人と調整しながら進めていきますが、そこで注意しなければいけないことがたくさんありますので、お話します。
今回の動画を見ていただければ、建物を新築したときの手続きで、あらやっちゃったという確認ミスを防げます。
建物表題登記に関わる人、建物を新築した施主さん、
司法書士さん、銀行さん、工務店さん、不動産業者さん、土地家屋調査士の仕事に興味がある人には役立つ情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。
それでは、建物を新築したときの注意事項を3つのポイントでお話します。
1つ目は、建物新築の登記で最初に確認しておくこと
2つ目は、建物新築の登記のスケジュールについて
3つ目は、建物新築の登記の関連業者との関わりについて
それでは
1つ目は、建物新築の登記で最初に確認しておくこと
①新築した敷地内に建物の登記があるか
前の建物を取壊して新築した場合には、古い建物の登記が残っている可能性が高いです。
土地を購入して新築をした場合には、前の所有者が滅失登記をしていることが多いですが、一応登記が残っていないか確認をします。
また、所有者さんも記憶にない古い建物の登記だけが残っていることがあります。
②建物の所有名義の確認です。
1人の単独名義にするのか、あるいは2人以上の共有名義にするのか。
建築確認済証の名義がA名義であっても、B名義で登記することは可能です。
また建築確認済証の名義がA単独の場合でも、表題登記をA・B共有名義で建物登記をすることはできます。
共有名義の場合は、表題登記の申請までに共有割合(持ち分割合)を決定しておく必要があります。
持分割合は自由に決めることができますが、通常は建築費用の出資額に応じた割合で持ち分を決めます。
出資額の割合と違う場合は、贈与があったとみなされて贈与税がかかることがありますので注意が必要です。
③建物登記の申請に当たっては内部の調査(写真撮影)が必要です。
すでに入居済みの場合は、日程を調整して建物内部の調査をします。
ほとんどの場合は未入居の段階で建物表題登記を申請します。
工務店さんなど管理者から鍵を預かる。あるいは現地にキーBOXなどで管理している場合は番号を聴いておきます。
そして表題登記の申請には、建物内部の写真を撮影して提出します。
提出する写真は、吹き抜けや屋根裏部屋、床下収納などの特殊階、
トイレ、お風呂、キッチンなどの水回りの写真を撮影します。
すべてほぼ完成状態でないと登記の申請はできません。
これは独り言ですけど、建物の内装工事(クロス壁など)というのは上から順番にしていきます。
3階建であれば、3階→2階→1階の順番に内装工事をします。
上から順番に写真を撮っていくと、完成状態の写真が撮りやすいということになります。
④旧住所で申請か新住所か
所有者さんは新築した建物に住所を移転することになります。
住所の移転のタイミングが建物登記の時期とかぶりますのでその確認をします。
新しい住所で建物表題登記を申請する。
もしくは、移転前の住所で建物表題登記を申請して、次にする所有権保存登記・抵当権設定登記をする前までに住所の移転をするということになります。
所有権保存登記・抵当権設定登記を申請する前までに、住所の移転が完了していないと住宅用家屋の登録免許税の軽減措置が原則は受けられません。
住所を移転しないで、軽減措置を受ける手法もありますけど手続きが面倒なので、
所有権保存登記・抵当権設定登記を申請する前までに移転をしていただきます。
2つ目は、建物新築の登記のスケジュールについて
建売住宅の場合の登記に関連するスケジュールについてお話します。
多少の前後はありますけど、おおよそこんなスケジュールで行われていることが多いです。
細かいところで、ツジツマが合わないツッコミどころがたいくつかあります。
ただし慣例としてこのような流れで行われているということです。
それではスケジュールについてお話します。
(動画で説明)
本来の正しい流れとしては、先に銀行決済をします。
建物の引き渡し
住所の移転
建物表題登記
住宅用家屋証明書取得
建物の所有権保存登記
土地・建物抵当権設定登記をする
本来は、この流れで行えば手続き面での矛盾はないということになります。
ただし銀行の融資実行が表題登記、保存登記、抵当権設定登記があとになることが、
現実的には難しいということになります。
3つ目は、建物新築の登記の関連業者との関わりについて
建物の新築に当たっては、業者間の連携が重要になります。
どのように連携を取っていくのかお話します。
まずは、金融機関との連携です。
建築確認済証の床面積と登記の床面積が相違する場合は、床面積が違う理由を説明できるようにしておきます。
1階の車庫部分を建築確認では床面積に参入していますが、登記では壁がないので床面積に入れてません。
というように建築確認との床面積が違う理由を明確にしておきます。
これは融資の審査では、床面積は建築確認の記載を基準に審査を進めているので、違いの根拠を明らかにする必要があるからです。
つぎは、工務店さんとの連携
工事の進捗の状況を確認を確認して現場調査を行う日程を調整します。
クロス壁が貼り終わる時期、トイレ、キッチンなど水回りの設置の時期など確認をします。
現地の状況を写真で撮影して、法務局に提出しますので、現場調査の段階で建物として登記できる段階(人が住める程度の段階)まで工事が進んでいる必要があります。
表題登記の申請と建築の完了検査のタイミングがバッティングすることがあります。
その際に完了検査で確認済証の原本が必要になることがあるのでその場合は調整が必要です。
完了検査で確認済証のが必要かと必要な場合は、完了検査の日程を聴いておく必要があります。
法務局に提出する書面は、原則登記が完了すれば返却してもらえます。
基本的に登記の申請中には、返してもらえません。
なので、完了検査が終わってから登記を申請するのか、先に表題登記をしてから完了検査を受けるのか調整が必要になります。
そして、司法書士との連携
建物の種類が「居宅・事務所」や「居宅・店舗」などの併用住宅の場合は、
種類ごとの面積の計算が必要です。
居宅部分○○・○○㎡、事務所部分○○・○○㎡のように種類ごとに面積を計算して、書面にします。
これは、建物の種類ごとに登録免許税の税率が違うために、面積を計算した書面を作成して、
つぎに所有権保存登記をする司法書士に渡します。
ちなみに住宅ローンの場合は、50%以上が居宅であることが条件です。
同じように構造についても、2種類以上ある場合には、登録免許税の計算が違いますから構造ごとに面積を計算します。
「木・鉄骨造」の場合には、木造部分○○・○○㎡、鉄骨造部分○○・○○㎡のように構造ごとの面積を書面にします。
そして、つぎに所有権保存登記をする司法書士にその書面を渡します。
住宅用家屋証明書の取得についてです。
自身が住む住宅用の家屋について、一定の要件を満たすことで登録免許税の軽減措置を受けることができます。
詳しいことは以前にYouTubeでお話をしていますので、そちらをご覧ください。
https://youtu.be/GJkzk-NyYYo
市区町村の役所で取得する書類です。
所有権保存登記、抵当権設定登記に必要な書類なので、本来は司法書士さんが用意する書類だと思います。
ただ、なかなか司法書士さんが住宅用家屋証明書を取っていただけないというところがあります。
結局、周りが右往左往して誰が取るんだという話になります。
最後にドタバタしないように、誰が取得するのかを明確にしておく必要があります。
不動産業者さんが入っているときは、不動産業者さん経由で連携を取ります。
必要なことを不動産業者さんに伝えれば、そこから金融機関、工務店、司法書士さんに連絡が行くということになります。
以上、住宅を新築したときの登記に関するお話をしました。
参考にしていただければ幸いです。