農地法の許可書をなくしちゃった。それでも地目変更登記できる?
土地の地目が、田、畑などの農地になっている。
その土地の地目変更をしたい。
あるいは売却をしたいんだけど、農地法の書類が見当たらないんだよね。
前に農地法の手続きはしているはずなんだけど・・・。
そうなんです。
田、畑など農地の地目を変更したり、土地の売却などで所有権移転するときには農地法の許可書あるいは届出をした通知書を法務局に提出します。
登記を申請するときに、法務局に提出する農地法の書類をなくしてしまったときにどうなるのかをお話します。
今回の動画を見ていただければ、農地法の書類を紛失したときの対応、地目変更登記と農地法の関わりがわかります。
ぜひ最後までご覧ください。
どーも(^^)
開業20年、土地家屋調査士、杉山です。
このチャンネルでは、土地家屋調査士としての経験、知識、考え方をお話しています。
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最後に視聴者さんのコメント欄の質問にランダムで答えますので、お付き合いください。
3つの段階でお話をします。
第1段階は、農地法の書類を探してみる
第2段階は、農地法の手続きをしているか調べる
第3段階は、農地法の書類がないときの対処法です。
それでは、
第1段階は、農地法の書類を探してみる
農地法の書類は、権利証、登記識別情報と一緒に綴られていることが多いです。
まず権利証を確認してください。
これは、贈与や売買で所有権移転の登記をするときには、農地法の許可または届け出が必要になるからです。
司法書士さんは、農地の所有権移転登記をする際には、許可書また届け出受理通知書を添付して法務局に申請します。
移転登記が終わったら、農地法の書類を権利書と一緒に綴ってお客様に渡すからです。
ちなみに相続の場合には、農地法の許可は不要ですので相続登記の権利証には農地法の書類はありません。
農地法の許可書、届け出書が見つからないというときには、まず権利証を見てください。
第2段階は、農地法の手続きをしているか調べる
農地法の許可証、届出書がない。
そして農地法の手続きをしているかも、わからない。
そんなときには、市区町村の農業委員会に直接聞いてしまいます。
農業委員会の人って結構親切で質問するとすごく丁寧に答えてくれます。
直接、農業委員会に行って聞くのが一番良いのですが、
電話でも割と丁寧に教えていただけます。
調べる前提として、市街化区域かあるいはそれ以外の市街化調整区域などなのか?
役所の都市計画課で教えてもらえます。
基礎知識として、
日本の国土に、都市計画区域というのが定められていて、その中の市街化区域内の土地であれば農地法は、届出で足りるとされています。
一般に、市街化が形成されている住宅が密集しているようなところは、ほとんど市街化区域です。
また、第1種住居地域、商業地域、工業地域などの用途地域が定められていれば市街化区域というとこになります。
市街化区域以外の場合は、都道府県知事の許可が必要です。
市街化区域の場合は、農業委員会への届出で足ります。
許可が必要な場合は届け出よりも添付書面が多く、許可を受けるまでの日数が長くかかります。
また、土地の登記事項証明書またはインターネットで取得した全部事項の登記情報を用意してください。
まず登記情報の甲区の欄を見ます。
登記というのは、表題部、甲区、乙区と3部構成になっています。
甲区には、所有権に関する事項が書かれています。
そこに売買や贈与が原因の所有権移転がされているかを確認します。
その所有権移転がされていれば、その少し前に農地法の許可を受けているということになります。
農地法の許可が必要ない登記もあります。
相続の登記や所有権移転の仮登記などの記載があっても農地法の許可は受けていませんので、注意してください。
表題部で、分筆の経緯も確認しておく必要があります。
表題部の原因及びその日付の欄に、「5番1から分筆」のような記載があったとします。
調査する土地が5番3だとすると、5番3の土地は分筆される以前は、5番1の土地の一部だったということになります。
なので5番1の土地についても、農地法の許可を受けているか調べる必要があります。
調べて農地法の許可を受けていない、届け出をしていない場合には、つぎのことも確認しておきます。
・許可あるいは届け出をするときの添付書面は何が必要か
・その農地を借りている賃借人(小作人)はいるのか
小作人がいる場合は、農業委員会に登録してあるのでわかります。
農地法の転用の許可、届出にあたっては、賃貸借契約の解除が必要です。
・許可、届け出のスケジュールの確認をします。
通常は、届け出の場合で2週間程度、許可が必要な場合は2ヶ月程度です。
農業委員会によっては、月に一回程度の締日が、設けられていて締日に間に合わないと翌月の処理に回されてえしまうということもあります。
第3段階は、農地法の書類がないときの対処法
方法としては、
まずは、市街化区域であれば再度の届出をする
一度、手続きをした土地であっても、市街化区域であれば再度届け出することもできます。
前回、届け出をした内容が変更することも考えられます。
転用目的が資材置き場や駐車場で届け出をしていたものを住宅建築に転用目的を変更することもあります。
つぎに、許可書または届け出受理通知書に代わる書類を入手できるか確認する
農地法届出受理済み証明書という書類を交付してもらえることもあります。
すでに届出済みであることの証明になりますので、この書面で地目変更をすることができます。
農地転用事実確認書という書類もあります。
これは許可を受けた内容のとおりに、資材置き場や駐車場などに農地以外の利用目的に転用されているを証明する書類です。
市区町村によって、出せる書類、出せない書類というのは違います。
その手続きをする市区町村の農業委員会に確認することになります。
そして、場合によっては許可書、届出受理通知書などを添付しないで地目変更を申請する方法です。
許可、届け出は済んでいるけど、書類がなにもない。
農地法届出受理済み証明書や農地転用事実確認書も農業委員会で出せないと言われた。
都心でほとんど農地がないところでは、農地法の手続きをしないで直接地目変更をしてくださいという農業委員会もあります。
その場合には、直接法務局に地目変更登記を申請します。
法務局は許可書や届け出受理通知書などの書面のない地目変更登記の申請があった場合には、
法務局から農業委員会に申請内容の照会がされます。
その照会に対して農業委員会が回答をします。
地目変更登記の申請について、問題なしという回答、あるいは原状回復命令を発する旨の回答
その回答の内容によって、登記が実行されるか、あるいは却下されるということになります。
また、許可書や届け出受理通知書を添付して、地目変更登記を申請しても
法務局から農業委員会に照会がされることがあります。
・農地法5条の許可、届出をした場合で、譲受人ではなく譲渡人から地目変更の申請があった場合
通常は譲り受ける人が地目変更をするのが通常です。
譲り渡す人から地目変更をすることで、その後は農地法から離れますので自由に所有権移転ができるようになります。
そのことから照会が行われるようです。
・許可、届出をした転用目的と違う用途で、転用がされている場合
農地法の申請書、届出書には転用目的といって、駐車場や資材置き場、住宅建築といった利用目的を記載します。
地目変更登記を申請した時に、許可、届出をした転用目的と違う場合には法務局から農業委員会に照会がされることがあります。
以上、農地法と地目変更についてお話をしました。
参考にしていただければ幸いです。
最後に視聴者さんの質問に答えます。
Q:ラフランスさん
開発許可手続きも、土地家屋調査士の業際問題ですか?
A:都市計画法の開発許可の申請については、行政書士の業務です。
市区町村の指導要領などを見ると開発許可の図面作成者、代理人は土地家屋調査士としてくださいと書いてあることがあります。
これは自治体が知らないで書いてるんじゃないかと思います。
開発許可を行う場合は、測量をして境界の明示も必要です。
開発許可に伴い、分筆登記、合筆登記、地目変更登記が必要になることがあり、土地家屋調査士の業務と深い関わりがあります。
私としては土地家屋調査士にも、開発許可の代理権があればいいと思います。
都市計画法の開発許可については、土地家屋調査士ではなく、行政書士の業務ということになります。