【隣の土地が測量】境界立会をしなかったらどうなるの?
隣の人から境界線の立会を頼まれた。
でも、忙しいし、境界線なんてよくわからない。
しかも現場まで遠いんだよね。
もー境界立会なんて無視しちゃおうかな?ぶっちしちゃおうかな。
そう思う気持ちはわからなくはありません。
現地まで遠ければ事前に、境界の写真など資料を送付してもらうようにしましょう。
今回は、もし境界立会を行わなかったときにどうなるのか、境界の大切さをお話します。
積極的に境界確認をしたいと思っていただけるように、一生懸命お話します。
ぜひ最後までご覧ください。
境界立会の3つのポイントでお話をします。
1つ目は、もし不安であれば専門家に相談
2つ目は、測量の費用はだれが出すの?
3つ目は、立場が逆になることがあるブーメラン現象
それでは、
1つ目は、もし不安であれば専門家に相談
境界立会を依頼されて、お隣の人が依頼した土地家屋調査士の言うとおりに境界線の確認をしていいのか?
もちろん土地家屋調査士が依頼者側に有利になるように境界を判断することはありません。
ただし、よくわからないまま境界確認書に、はんこを押してしまうのは不安だと思われるでしょう。
そんなときは、ぜひ専門家に相談してください。
お知り合いで、建築士や測量士、土地家屋調査士がいれば相談していただいて、
いなければインターネットなどで調べて、信頼できそうな土地家屋調査士に依頼しても良いでしょう。
自治体によっては、土地家屋調査士などの専門家による無料相談を行っているところもあります。
そういったところも活用して、相談をしてください。
2つ目は、測量の費用はだれが出すの?
土地の境界はお互いのものであって、民法223条の規定によると「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。」とされています。
境界を確定させて境界標を設置するということはお互いにとっての利益になる行為なんです。
そう考えると測量の費用も隣地の所有者同士で折半ということも考えられます。
しかし現実的には、測量を依頼する人、測量が必要になった人が測量費の支払いをします。
当然といえば当然です。
建築や、土地の分筆、土地の売却で測量が必要になったからと言って、隣の人に「測量の費用を出して」とは言えないですよね。
お互いの利益というよりは、隣の人に境界立会をお願いするという立場になります。
お互い様なんだから「境界立会に協力してね」というよりは、
「忙しいところすみませんが、協力お願いします。」といって茶菓子などを配る感じです。
そういった姿勢でないとうまくいきません。
お隣の所有者さんとしては、いつご自身が測量が必要になるかわかりません。
そういった中で、隣の人から境界線の確認をお願いされるのは、境界を確定できる機会をもらったと思ってほしいです。
自分で測量を依頼すると、多額の測量費がかかるのに、その測量費は隣の人が負担します。
そして確認した境界を元に図面を作成し、境界確認書を取り交わし、永続性のある境界杭を設置します。
隣の人からすると、境界立会を依頼されて、よくわからないし、面倒くさい。
と思うかもしれませんが、境界を確定させるメリットというのは大きいです。
お隣から境界立会を依頼されたら、ぜひ積極的に境界確認をしていただきたいと思います。
3つ目は、立場が逆になることがあるブーメラン現象
以前、境界立会の依頼をされたけど立会に応じなかった。
そして数年後に立場が逆になるということはよくあります。
どうしても土地を売却しないといけない。
分筆する必要があるなど、測量をして境界立会をしないと行けない状況になることはあります。
土地家屋調査士としては、こうした立場が逆になる測量の依頼というのはできるだけ受けたくないものです。
立場が逆になったときにどうなったかを実際にあった事例でお話します。
まず、測量を始めるときには、事前に隣接の土地所有者さんにあいさつに伺います。
そのとき隣地の地主さんで、ホテルを経営されている人がいました。
その会社に伺うと、その会社の社長様に以前こちらが測量した時に立会に協力をしてもらえなかった経緯を興奮した感じで話された。
最初にうちは、「こっちは何度もお願いに言ったのに協力してもらえなかった。だから絶対に協力しない。ふざけるな!」と興奮が止まらなかった。
ただし、話を聴いているうちにだんだんと落ち着いてきて、
「境界が決まらないのは、こちらにとっても不利益だからな。立会はするよ。」
「ただし条件がある。立会のときには必ず地主を連れてきてほしい。代理の土地家屋調査士だけではダメだ。」
ということだった。
そして、隣地の会社の応接室を後にした。
「隣地の人の言うのも当然だよな。」
「しかし依頼者さんも、こんな大事な話は最初に言ってほしいな。」
そんなことを思いながら事務所に戻りました。
そして測量の依頼者に経緯を説明をする。
「お隣の地主さんから、お話がありました。境界立会には必ず出席してください。」とお願いした。
そして、境界立会の当日です。
隣接のホテルのオーナーさんと依頼者の地主さんと他の地主さん、私とスタッフと市の職員が来て境界確認を行った。
境界線の説明をして、たんたんと立ち会いが行われる。
隣接のホテルのオーナーさんも、過去のしゃくぜんとしない思いよりも境界を確定させることを優先したのでしょう。
境界未確定の土地だと、いざ売却したいと思っても売却しづらい。
売却ができても、境界未確定ということで売却金額が低く見積もられてしまうこともあります。
経営者は、そのあたりは感情よりも合理性を考えるのでしょう。
他の地主さんが、境界線に塀を建てたいと測量の依頼者に言い出した。
測量の依頼者さんが、
「そちらの敷地で勝手に塀をすればいいじゃないか」
少し、投げやりな態度をしたんです。
すると隣接のホテルのオーナーさんの顔色が急に変わったんです。
顔を真赤にして、すごい形相で怒鳴りだした。
「あんたね!地主ってそんなに偉いのかよ!」
「俺は、3年前に何度もお願いしたじゃないか!でもあんたは立会してくれなかった。」
「境界は認めない」と言った。
「ふわ、ふわ、ふわ」といった感じで初めて人から湯気が立ってるのを見ました。
隣接のホテルのオーナーさんの感情が損得を上回った瞬間でした。
もうこうなると、私たちにはどうすることもできなかった。
境界立会で、うまく行かない原因で、意外と多いのがこのブーメランです。
以前、境界立会をお願いしたけどそれに応じなかった。
そして、立場が逆になるといったパターンです。
仕事を依頼する上では、悪い情報ほど、正直に全部を伝えてほしい。
情報を隠されたり、嘘を言われるても、事実は後で判明します。
そうすると、まだ他にもあるのかとか不信感になっていきます。
信頼関係を保つためにも、土地家屋調査士に依頼するときには、
最初の段階で、有利なことも不利なこともすべてお話をいただきたいです。
測量を依頼する人は、何らかの目的を持って依頼してきています。
境界線に塀を建てたい。土地を売却したいとか、相続人で分けるのに土地を分筆したい。
隣地の所有者さんと境界の確認ができないことで、目的が達成できないこともあります。
紹介した事例のように立場が逆になることもあります。
隣地から境界立会を頼まれたら積極的に協力をしていただきたいと思います。
それでは最後に視聴者さんの質問に答えます。
Q:まなぶたろう土地家屋調査士見習いさん
開業して数ヶ月の間は、建物表題登記の依頼は少ないのでしょうか?
また、年数を重ねた土地家屋調査士事務所に建物表題登記の依頼はコンスタントの来るものなのでしょうか?
A:建物表題登記の依頼がくるかどうかは、どの業者さんとお付き合いするかによって変わると思います。
お付き合いする業者さんが工務店さん、ハウスメーカーさん、建売分譲業者さんであれば建物表題登記の依頼が多くなります。
付き合う業者さんによって、依頼される内容は変わります。
また、業者さんによって、最初のうちは小さい仕事、建物滅失登記や地目変更、建物表題登記を依頼されて、
徐々に信頼関係ができてから、大きい測量、分筆などの仕事を依頼されます。
まあ依頼している土地家屋調査士が何人かいて、徐々に順位が上がっていくような感じだと思います。
仕事を出す土地家屋調査士が3人いると3番手から2番手、1番手と順位が上がっていくような感じがします。
参考にしていただけると幸いです。