法務局の筆界特定制度ってどんな制度

お隣との境界線が確認できない。
連絡しても境界立会に応じてくれない。
立ち会いしたけど、境界線の主張が相違して境界線の確認ができなかった。

そんなときの対処方法として、
民事調停、ADR(裁判外紛争解決手続き)、境界確定訴訟
そして筆界特定制度があります。

それぞれ特徴は違いますが、もっとも多く使われる手法が、法務局の筆界特定制度です。

今回の動画を見ていただければ、筆界特定制度の費用、申請、特徴についてわかります。
ぜひご覧ください

どーも(^^)
開業20年、土地家屋調査士、杉山です。
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最後に視聴者さんのコメント欄の質問にランダムで答えますので最後までお付き合いください。

それでは、
筆界特定制度の3つのポイントについてお話をします。
1つ目は、筆界特定制度の費用について
2つ目は、筆界特定制度の申請について
3つ目は、筆界特定制度の特徴について

それでは、
1つ目は、筆界特定制度の費用について

筆界特定にかかる費用です。
まずは、最初にかかる申請手数料を納付します。
これは、法務局に収める費用で、申請する土地と相手方の土地の固定資産税の評価額から算出します。
例で言うと、自分と相手方の固定資産税の評価額の合算が仮に7000万円だと、申請手数料は11,200円です。

つぎに、法務局に収める予納金というのがあります。
これは、法務局が行う測量費、調査費の手続き費用の予定額を納めなければなりません。
これは、申請してから3か月から6か月後くらいに、法務局から予納金がいくらです。
期間内に収めてくださいという案内がきます。
一般的には、50万円から130万円くらいだと思ってください。
事案の複雑さや測量の範囲によって違います。
これを期間内に収めない場合は、申請が却下されます。
当事者間の話し合いで解決できた場合などは、ここで予納金を納めなければ却下となり、手続きはそこで終了します。

そして、申請代理人に支払う報酬です
私たち土地家屋調査士に支払う報酬です。
これは事案によって金額が違います。
ご依頼の際には、事前に見積書を提出します。

2つ目は、筆界特定制度の申請について
申請書はインターネットでダウンロードすることができます。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html

申請できるのは登記名義人またはその相続人です。
共有の場合は、共有者の一人から申請できます。
その場合は、他の共有者は関係者となります。
隣地(関係土地)所有者と同じような扱いです。

筆界特定の申請中に、所有権が移転した場合には、新しい所有者がその地位を承継します。
却下して再度の申請はする必要がないということになります。

抵当権者、賃借人などから申請をすることはできません。
登記のない土地については所有者から申請します。
公図上に地番のない登記されていない土地については、通常は国有地なので、国が申請権者となります。

所有者との間で一度、境界の協議が整って、境界確認書を取り交わした土地であっても、筆界特定制度の申請をすることができます。
境界確定訴訟の判決によって確定された筆界、すでに筆界特定がされている筆界については、原則は筆界特定制度を申請することはできない。

筆界特定制度を申請するのは、必ず境界2点以上の線で接する土地です。
1点のみで接する土地は、筆界特定制度の対象外です。

筆界特定の申請がされると関係人に通知がされます。
関係人というのは、申請人以外の所有権登記名義人(共有の場合の他の共有者)です。
また特定する筆界に関係する土地の所有権登記名義人にも通知がされます。
賃借権者や担保権者などには通知されません。

特別な通知の方法として公示送達というのがあります。
通知すべき関係人の所在が判明しないときには、
関係人の氏名などの必要事項を法務局の掲示板に掲示する。
掲示後2週間を経過することで、関係人に通知が到達したとみなされるということになります。

 

3つ目は、筆界特定制度の特徴について

筆界特定制度は、法務局に筆界特定申請をして、法務局が調査して筆界を特定する制度です。
筆界は、地番と地番との境界のことで、時効取得などによる所有権の境界については特定することはできません。
所有権の境界を争う場合は、裁判手続きなど他の方法で行うことになります。

「筆界特定制度」は、法務局に申請して、筆界(境界線)の特定を公的な判断で行う制度です。

境界線の判断は、申請人(所有者さん)が考えた通りになるとは限りません。
意に添わず、考えていたより、不利な筆界が特定されることもあります。
そして、筆界が特定したのちには、境界確定訴訟になりますが、一度特定した筆界を覆すのはかなり難しいのです。

ただし、隣人関係の影響が少ないというメリットもあります。
当事者の対立構造とは関係なく、客観的に筆界を判断しますので、隣人関係への悪影響は少ないです。

筆界特定制度で境界線で特定しても、その位置にコンクリート杭などの境界標識が設置されるわけではありません。
境界標識の杭の設置には、隣の人の承諾が必要です。
隣の人に拒絶された場合は杭の設置は難しくなります。

筆界が特定されると、申請人と隣の人へ筆界特定書の写しとその内容が通知されます。

そして、特定がされるとその資料が法務局に保管されて誰でも見ることができる公的資料となります。

なので、時効取得など他の紛争になってもその資料を使えます。

資料には、寸法の入った図面、座標値、引照点などが記載されます。
その筆界(境界線)については特定しますので、その資料にもとづいた分筆や地積更正の登記ができます。

筆界特定後は、公的な資料として一般に公開されます。

境界線の確認ができない場合に
民事調停、ADR、境界確定訴訟などが考えられます。
そのうち最も、費用面や期間などを考えて現実的な手法が、筆界特定制度です。

どれくらい時間がかかるかです。
申請して筆界が特定されるまでの時間ですが、
事案の複雑さや、申請の込み具合によって違います。
おおよそ1年くらいかかると思ってください。

境界確定訴訟の場合は、期間が2年から5年程度と言われています。
それよりは短く済むと思います。
筆界特定のご相談は、お近くの法務局の相談窓口または土地家屋調査士にご相談ください。

 

最後に視聴者さんからの質問です。

Q:隣人が立会い確認しているのに、立会証明書にサインしない場合でも分筆する方法はありますか?

A:境界については認めるけど、署名捺印はしたくないという人って、
たまに居るんですよね。
その場合であれば、立会証明書なしで、分筆を申請する方法です。
立会証明書なしで分筆の申請をすると法務局から隣地の人に立会依頼書が送付されます。
それに対する回答書があって、隣地の人がつぎのいずれかに○をつけて回答します。

1.隣地との境界に異議がないので立会しません。
2.指定日時に指定の場所で立会します。
3.指定日時に立会することができません。
4.都合がつかないため、○月○日○時で調整お願いします。

隣地の人の行動次第で、
分筆登記が却下されるか登記が実行されるかということになります。

却下されたら今回の筆界特定制度の申請とういう手法になります。

今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/
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