【書評】「農地転用の手続」何をするかがわかる本 行政書士 土地家屋調査士 若子昭一著
でもさ、農地転用の手続って、専門用語がたくさん出てくるんでしょ。
専門的な本って、農地転用?生産緑地?土地改良区?
???が並ぶとさ、おやすみなさい。寝ちゃうんだよね。
でもね、この本は違うんだよ。
まず専門用語を丁寧に説明をして、
???の糸をほどいてから、本題の説明に入るんだよ。
だからわかりやすいんだよ。
今回、紹介する本はこちら
「農地転用の手続」何をするかがわかる本~あなたの土地、眠ってませんか?
著者は、名古屋市で農家の分家住宅を専門にサポートされている
行政書士そして土地家屋調査士の若子昭一さん
今回の動画を見ていただければ、農地転用手続の概要がわかります。
農地手続がわかる人になる、アドバイスができる人になる、そして手続全体をコーディネートできる人になる。
そんな構成になっています。
ぜひ最後までご覧ください。
どーも(^^)
開業20年、土地家屋調査士、杉山です。
このチャンネルでは、土地家屋調査士としての経験、知識、考え方をお話しています。
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最後に視聴者さんのコメント欄の質問にランダムで答えますのでお付き合いください。
この本は、1章から7章までの構成で、その章ごとに独立しているんだということです。
だから全部読む必要はありません。
自分に取って必要な部分だけを読んでね。
まず、第1章は農地法の基礎知識だよ。
基本を抑えたい人は読んでね。もうわかっている人は飛ばしていいですよ。
つぎに、第2章は転用ができるか自分で調べるための知識。
そして、第3章は、手続全体をコーディネートできる知識。
農地法の知識が必要な人
土地家屋調査士、司法書士さん、建築士さん、不動産業者さん、ハウスメーカーさん2章と3章は、とっても重要です。
そして、第4章から第7章まで、農地転用手続の具体的な手法が書いてある。
手続も含めて把握したい人、自分で手続をしたい人、プロの行政書士さん必見の内容となっております。
今まで、農地法というのは経験を積みながらでないと知識を身につけられなかった。
でも、この本一冊で、農地転用に必要な知識がほぼ習得できます。
それでは、第1章、第2章、第3章の内容をご紹介します。
まずは、
第1章 農地転用手続の前に知っておくべきこと(基礎知識)
1.転用手続が必要な農地
農地というのは田、畑で耕作している土地をいいます。
農地転用というのは、農地を農地以外に利用することです。
ただし実際に耕作をしている農地でなくても、
登記されている地目が田、畑であれば農地法の手続が必要です。
また登記が農地以外であっても、固定資産税の課税上、田また畑であれば農地法の手続きが必要になります。
ただし、200㎡以下の農業用の倉庫や、農業用の自動車を一時的に駐車するスペースは許可不要です。
2.転用の許可が不要な場合
市街化区域内の場合は、許可が不要です。
一般的に住宅が立ち並んでいるようなところは、ほとんど市街化区域です。
でも、念のために役所に確認をしましょう。
役所の都市計画課などで教えてもらえます。
そして市街化区域ということであれば、許可ではなく届出で足りるとされています。
これが許可と届出では全然違んですよ。
期間も許可だと2ヶ月くらいかかるの対して、届出であれば1週間から10日くらい
提出する書類も許可の場合はものすごく多い。
届出であれば、公図とか登記事項証明書とかかんたんな書類だけですみます。
3.農地の無断転用には罰則がある?
所有者も自覚がないままに、無断で転用することってあるんです。
では農地を許可を取らずに勝手に、転用しちゃったらどうなるのか?
それは農地法64条の違反で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と厳しい罰則があるんですよ。
では農地法に違反してしまったときの対処方法ですけど、もう一度農地の状態に戻すか、もしくは可能であれば事後的に許可を取ることになる。
これが許可を受けていない無断転用を放置していると問題が大きくなることもある。
農用地地区内農地では、事後的な許可を受けるのは困難です。
転用の許可を取るときに、無断転用の是正を先に求められて転用許可の申請ができないということになります。
また生産緑地では、営農を続けることで税金の面で優遇を受けていますので、手続を踏まない転用は、生産緑地法の厳しい罰則を受けます。
無断転用については、十分注意をする必要があるということです。
第2章 転用する土地の選び方と事前相談
転用する農地の選び方として、
上下水道などのライフラインがしっかりしているか
土地の境界がはっきりしているか、
そして農地にはランクがあって、転用許可が受けられない農地もある。
1.農地のランクと転用の可否
農地には5つのランクがあります。
高い順に、
①農業振興地域内農用地区内農地
②甲種農地
③第1種農地
④第2種農地
⑤第3種農地
1番ランクの高い農業振興地域内農用地区内農地は、
1面に田、畑が広がっているようなところで、生産性の高い優良農地です。
1番ランクの低い第3種農地は、市街地の中にある農地です。
ランクの高いほど、農地転用の許可を取るのが難しいということになります。
農業振興地域内農用地区内農地では、ほとんど許可が取れないです。
ただし子供が独立して家を建てたいというときに、土地を所有しているのに一切農地転用できないというのは酷ですよね。
小学校、中学校、高校、地元の学校に通いました。
田中さんちの塀に落書きして怒られた。
あの木に登って遊んだよ。
公園にたむろして夢語ったよ。
そんな思い出の土地に家を建てたい。
でも農地転用の許可ができないから他で家を建てろって!
農地法っていったいなんですか?
まあ落ち着け、条件によっては家を建てられることもある。
高ランクの農地以外に他に土地を持っていない。
他の農地に影響が少ないなど、要件次第で許可ができることもある。
まずは、相談だ!
2.相談する窓口と聞くべきポイント
まずは、相談する前提として、公図、登記事項証明書、固定資産税の一覧(納税通知書、名寄帳)、住宅地図くらいは用意しましょう。
そして相談の窓口は、農業委員会事務局です。
農業委員会は市町村の役所の中に入っています。
まずは、転用のしやすさ農地の5段階のランクはどこか調べます。
周囲には田しかなくて、転用が難しいと思ったら意外と農地のランクが低くて転用がしやすいなんてこともあります。
つぎに、土地改良区の手続が必要かを確認します。
土地改良区は、農業従事者が集まって、農業用水の確保、用水路の整備などを行う法人です。
土地改良区の区域内に農地を所有している場合は、その法人の組合員になっている。
だからその土地改良区の手続も必要になります。
そして、農地の転用にあたって固定資産税がどの程度上がるのか
大都市では農地でも宅地並みに固定資産税が課税されていることが多い。
ただし市街化調整区域の場合は、農地は宅地にくらべてかなり固定資産税が安いです。
転用することで、どの程度の固定資産税が上がるのか、市町村の税務課で聞くようにしておきます。
以上が、転用する土地の選び方と事前相談です。
第3章 転用の申請前にすべき他の手続き
1.測量、分筆
境界がはっきりしない場合は測量が必要です。
農地が広い場合には、転用する部分を分筆する必要があります。
確定測量と分筆には、数カ月はかかりますので事前にスケジュールに入れておきます。
2.権利の整理
相続をしている場合は、誰が相続をするか確定をしていないと農地転用の手続ができません。
抵当権の登記や仮登記がある場合は、権利者との調整が必要です。
農地を貸していないか?農地を貸している小作人がいる場合には、解除が必要です。
農地を貸していても登記では確認はできません。
農業委員会で小作人がいるか確認する必要があります。
3.農振除外
農業振興地域内農用地区内農地(通称、青地)の農地転用手続はかなり難しいです。
除外の手続と農地転用の手続と合わせると、おおよそ6ヶ月から1年数ヶ月はかかります。
条件も厳しいです。
代わりに転用できる土地がない。
周囲の農地への影響が少ない。
まとまった農地(10ha以上)の一角でない。
などの条件をすべてクリアしないと転用をすることができません。
農地の5つのランクで一番、転用がきびしいと土地なので
条件も当然きびしくなります。
4.都市計画法の開発許可
市街化調整区域で、住宅を建築するために農地転用する。
その場合は、転用する面積にかかわらず都市計画法の開発許可が必要です。
ほとんどの場合は、農地法の許可よりも、開発許可のほうが難易度が高い。
なので、開発許可申請をさきに許可の要件、添付書面、スケジュールなどを確認しておくのが重要です。
そして、農地法と開発許可はどちらかが先ということではなくて、
同時申請、同時許可が原則です。
開発許可が必要な場合は、
後手ではなく先手を打って行動するようにします。
5.生産緑地の解除
生産緑地は、大都市圏の農地で営農を続けることを条件に税金の優遇を受ける制度です。
生産緑地を農地転用するためには、解除をする必要があります。
解除できる条件としては、農業の従事者の身体的な故障、または死亡した場合、
指定から30年が経過した場合です。
解除をするためには、市に買取の申し出をします。
市もしくは他の農業従事者が生産緑地を買い取らなければ解除がされます。
申出をうけて買い取られるのごくまれなケースで、ほとんどの場合は生産緑地が解除されます。
1992年に生産緑地法の指定を受けている農地が多い。
そのために2022年に指定から30年を迎える生産緑地が、大量に解除されると言われています。
大都市圏では、これから生産緑地の解除に伴う農地転用が多くなると予想されます。
最後に視聴者さんの質問に答えます。
内村さんの質問です。
A:土地家屋調査士における開発行為とは何をするのでしょうか。
許認可とったりも行うのでしょうか。
分筆や地目変更はわかるのですが、許認可とったりは役所に相談しながらなら経験なくても
土地家屋調査士の、境界確定測量、分筆、地目変更等の経験があればこなしていけるものでしょうか。
Q:
市街化区域で1000㎡以上、三大都市圏については500㎡以上、
市街化調整区域では面積にかかわらず、土地の区画形質の変更で都市計画法の開発許可が必要です。
開発許可についての土地家屋調査士のかかわりです。
開発許可の申請自体は、行政書士の仕事です。
土地家屋調査士は、確定測量、宅地分譲などのプランニング、分筆、地目変更、
高低差測量、工事の状況にあわせた境界標の設置、図面の作成などを行います。
ゴミ集積所の形状、道路の形状、宅地の形状など
開発の指導要領を把握していないと分筆の計画も立てられないということもあります。
開発許可については、特殊なところがあります。
なかなか土地家屋調査士の知識だけで行うのは難しいです。
今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/
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