【本紹介】開発許可申請のことがよくわかる本 行政書士 中園雅彦著

開発許可については、なかなかわかりやすく解説している本が出ていない。
行政で出している開発許可の指導要領を見ても、専門用語が多くて理解できない部分が多い。

申請を受ける行政の立場から書いた本ではない。
実際に申請手続をする人の本、読みたくないですか?
読みたいですよね。
そんなときに、出会ったのがこの本です。
「開発許可申請のことがよくわかる本」
著者は、開発許可・農地転用許可を専門にしております福岡の行政書士 中園雅彦先生です。

本のタイトルの通り、とにかくわかりやすい。
難しい開発許可の手続をサクッと把握したいのであればこの本は最適です。

どーも(^^)
土地家屋調査士、杉山です。
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開発許可申請のポイントを3つにまとめます。
1つ目は、開発許可とは何なのか申請の流れとスケジュール
2つ目は、開発許可の事前相談、事前協議手続き
3つ目は、開発許可の公共施設管理者との協議

 

1つ目は、開発許可とは何なのか申請の流れとスケジュール
まずは、開発許可とはなにか?
一定の規模以上の土地の開発行為については、都市計画法の規定で、都道府県知事の許可が必要になります。
市街化区域では1000㎡以上、ただし大都市圏については500㎡以上の開発行為については、許可が必要。
市街化調整区域については、面積にかかわらずに開発許可が必要です。

つぎに、開発行為というのは、建築物を目的として行う土地の区画、形質の変更です。
建築物を目的としない駐車場や資材置き場については、該当しません。
開発許可というのは、土地の区画形質の変更についての許可です。
建物建築についての許可ではなくて、土地の造成工事についての許可ということになります。

区画の変更というのは、道路や公園などの公共施設を新しくつくり出すことです。
形質の変更というのは、
農地など、宅地以外の地目を宅地に変更する。
土を盛ったり、削ったりすることです。
道路を作らない、
もともと宅地の場所で、切土盛土がないという場合には開発行為に当たらないこともあります。
事前相談で開発許可の必要の可否に確認します。

そして全体のスケジュールです。
スケジュールとしては、5ヶ月から年単位で時間がかかることがあります。
まず調査やプランニング、事前相談を行います。
①事前協議手続で約1ヶ月
②32条協議で約1ヶ月から2ヶ月
③開発許可申請手続きで約1ヶ月
④造成工事の期間で約1ヶ月
⑤工事完了手続きで約1ヶ月

もちろん開発の規模や事案の複雑さによって、期間はだいぶ違います。
この他に測量や事前相談、開発プランをする期間を入れると年単位の期間になります。

 

2つ目は、開発許可の事前相談、事前協議手続き
まず事前相談というのは、市役所や都道府県の開発許可を担当している課に、開発の内容を相談します。
相談内容としては、そもそも開発許可に該当するのか
開発の許可を受けられるのか。
事前相談が終わったら、プランの通りに許可を受けられるか事前に協議をします。

開発許可というのは、土地の区画形質の変更にされる許可です。
建物建築の許可ではなく、宅地の造成工事の許可ということになります。

そもそも開発許可を受けられるのか、という問題もあります。
市街化区域であっても、開発の場所まで侵入する道路が狭すぎて、開発許可を受けられないなんてこともあります。
開発を計画する場所から幹線道路までの道が狭い場合は、要注意ということになります。

事前相談の結果、開発許可の手続を進めていくということになれば、
開発許可標識を設置して、近隣の住民に開発の計画について事前説明を行います。

つぎに、開発の許可のより詳細な計画について事前協議を行っていきます。
開発の規模によっては、公園や集会所、防火水槽が必要なこともあります。
道路の形状、幅員、隅切り、ごみ集積所の形状も確認します。
1宅地の最低面積が定められていることもありますので、確認をしておきましょう。

そして実際に設計した計画を図面に表して協議を行います。
提出する書類は、
開発計画事前協議申請書、開発計画説明書、位置図、公図、現況図、
土地利用計画図、造成計画平面図および断面図、給排水計画平面図などがあります。

 

3つ目は、開発許可の公共施設管理者との協議
これはいわゆる32条協議とか各課協議とも言われます。
協議をする公共施設の管理者とは誰のことを言うのかです。

水道は水道局
道路と下水道については計画調整課
消防水利については、消防局本部の警防課
水路については、農業用水路であれば農業施設課
埋蔵文化財については、埋蔵文化財課
などが挙げられる。

担当課の名称などは、その地域の役所によって違います。
事前協議が終わった時点で、各課の一覧を渡されてこの課と協議をしなさいと指定がされます。
協議箇所はたくさんありますが、
その中で道路に関する協議、埋蔵文化財に関する協議、消防水利の協議を紹介します。

①道路管理者との協議です。
雨水の最終マスの構造図を提出します。
雨水は各宅地に降ったものを1つのためマスに集めて、道路のU字溝などに接続して流します。
この最終的に集まるためマスのことを最終マスと呼びます。
雨水の処理は、宅地内で処理するのが基本です。
そのために宅地内に雨水浸透桝などを設けて、雨水の処理量を計算します。
どうしても宅地内で処理ができないオーバーフローの部分を道路側溝などに流します。

また道路境界の確認書も必要になります。
境界が確定していない場合には、事前に測量が必要になります。

②埋蔵文化財の協議です。
埋蔵文化財というのは、わかりやすく言うと遺跡のことです。
埋立地のように後から人工的にできたことがわかっている地域であればその可能性はありません。
ただし以前から存在する土地であれば、開発する土地の下に縄文時代の遺跡が眠っている可能性があります。
開発の造成工事や建築の基礎工事によって、眠っている遺跡に気づかずに壊してしまうなんてことも考えられます。
そのようなことが起きないようにするために、事前に埋蔵文化財包蔵地内かどうか確認をします。
包蔵地外であれば、遺跡が出てくる可能性が低いため、開発工事について支障なしと回答される可能性が高いです。
埋蔵文化財包蔵地内での開発行為にあたっては、開発にあたり試掘が行われることがあります。
試掘で何か遺跡が出てきた場合には、本格的な発掘調査が行われます。
発掘調査の場合の費用は、申請者負担になりますし、発掘している期間は工事ができません。
大幅に計画が変更になりますので、事前に確認しておく必要があります。

③消防水利の協議です。
消防水利とは、消防活動を行う際の水利施設のことです。
なぜ開発許可で消防水利の協議が必要なのか?
万が一、開発する場所で火災が起こった場合に、有効な消火活動ができるかです。
これは消火栓からの距離と消防用活動空地があるかどうかで判断します。
消防用活動空地とは、はしご者が消火活動するための進入路と空地のことです。
建物の規模が4階建以上の場合は必要になります。
消火栓の位置から120m以内に開発する場所が入っているかで判断します。
場所によっては100m以内の場合もあります。
もし、範囲内に開発する場所が入っていない場合は、新たに消火栓や防火水槽を設置する必要があります。
消火栓や防火水槽を設置する費用は高額なうえに、申請者負担となります。
設置が必要になるかは、早い段階で確認をしておく必要があります。

 

公共施設の管理者との協議が終わったら、開発許可の申請いわゆる本申請です。

そして開発許可後に開発許可の標識を設置、工事着手届を提出して、宅地造成工事に入ります。

工事完了後に工事完了届をして完了検査を行う。
検査に合格して検査済証の交付を受けますと手続が完了です。

土地家屋調査士と開発許可とのかかわりです。
①境界確定測量
道路などの公共用地との境界、民々境界の確定をして開発区域を明確にします。

②開発区域やその周辺の現況測量
隣地の建物の位置、マンホール、電柱、標識、側溝、歩道、緑地帯などの位置を測量をします。
電柱標識などの移動の必要があるのか。
開発区域の出入りについて、歩道や緑地帯、側溝の工事が必要になるのか。
現況測量をして検討します。

③高低差測量
開発区域とその周辺の高低差測量を行います。
高低差測量の結果に基づいて、
排水の計画、ブロック塀や擁壁の計画、造成後の宅地や開発道路の高さの計画をします。

④工事状況にあわせて境界の設置や点検
最初の段階では、木の杭でいわゆる仮杭を設置します。
ある程度、工事が進んだ段階でコンクリート杭や金属プレート標などいわゆる本杭を設置します。
そして完了検査にあたって、工事で境界標の破損あるいは位置が動いていないかを点検します。

⑤申請図面の作成
申請に必要な現況図、土地利用計画図、造成計画平面図および断面図、給排水計画平面図などを作成することもあります。
これらの図面は土地家屋調査士の中でも、開発許可の経験を積んでききている人でないと作成は難しいです。

最後に著者の中園雅彦先生の言葉です。
開発許可申請は、開発工事の設計と同義であり、設計段階での違いは、
開発工事のやり直し等、大きな経済的損失を生むので失敗は許されない。
確実に許可が下りるように、日々お客様との間で行政の担当各課との間で奮闘している。
日本のまちづくりを支援するのがミッション。

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