【Q&A集】土地を購入するのに確定測量をしてほしいと言ったら嫌がられた

今回は、視聴者さんの質問にまとめて答えます。
9つの質問に回答いたします。
これから、質問内容を読み上げますので、興味があるところだけでもチャプターを使ってご覧ください。
共通の疑問、悩み、問題を抱えている人には役立つ情報です。
ぜひ最後までご覧ください。

Q1:知らないうちに隣との間に黄色の紐が張られておりました。断りをいれるものではないのですか

Q2:時効取得されるのを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。

Q3:土地の購入を検討していて、確定測量してほしいと不動産屋さんに言ったらイヤな顔をされました。なぜでしょうか。

Q4:土地家屋調査士の資格を取って、自社で買い付ける土地の確定測量をしても良いのでしょうか?
中立性が保たれないと思いました。

Q5:土地家屋調査士は、即独しやすいでしょうか?

Q6:公共嘱託登記土地家屋調査士協会の社員って大変なのでしょうか?

Q7:50歳から調査士デビューする人なんているんでしょうか?

Q8:今56歳で会社員をやってます。調査士の有資格者です。
即独は難しいので補助者をやりたいのですが断られます。どうしたら良いですか。

Q9:変化の激しい時代ですが土地家屋調査士の仕事はどのように変わると思いますか?

どーも(^^)
開業20年、土地家屋調査士の杉山です。
このチャンネルでは、土地家屋調査士としての経験、知識、考え方をお話しています。
よかったらチャンネル登録、高評価ボタン、右下のベルの通知ボタンのどれかをクリックしていただけると嬉しいです。

 

Q1:
知らないうちに隣との間に黄色の紐が張られておりました。
設計士が引いたらいしのですが、断りをいれるものではないのですか
A:
黄色のヒモを張ったというのは、水糸かもしくは、黄色と黒のトラロープでしょうか。

地質の調査をしたり、あるいは建築の工事などである程度の敷地の範囲を示したかったのだと思います。
まさか、勝手に塀の工事をすることはないと思います。
しかし、隣地の人と、設計士の人には境界については測量をしないと判断できない旨や境界付近で工事などをする際には、
事前に日程など連絡する旨をお伝えされるのが良いです。

隣地の人に、測量をするように提案したらどうでしようか。

Q2:
時効取得されるのを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。
A:
測量をして境界確認書を作成することをおすすめします。

平成16年11月29日の判例で、時効の完成を知っていたか知らなかったかに関わらず、
境界確認書の作成した行為によって時効の援用権が喪失したという判例があります。
境界線から隣の塀やベランダ、建物本体などが越境している場合には、
境界確認書にあわせて「越境物の覚書」を作成すると良いです。

すでにお隣との関係が良好ではなく、境界確認書などの取り交わしが不可能である。
そのような場合には、
ADR境界問題相談センターというのが各地域ごとに設置されています。
https://www.chosashi.or.jp/consulting/adr/
そちらに相談することをおすすめいたします。

 

Q3:
土地家屋調査士の資格を取れば、自社で買い付ける土地の確定測量をしても良いのでしょうか?
中立性が保たれないと思いました。

A:
これから買い付ける土地の測量をしても、
面積の増減は売買金額で精算することにすれば利益相反にならないと思います。
たとえば仮測量をして、面積が増える場合には公簿面積で買い取る。
面積が減る場合には、実測面積で買い取る。
実際にありえると思いますが、その場合は倫理的にどうなのかとは思います。

ブラック企業に勤めていて、土地家屋調査士として意見を通せないようならやめたほうがいいです。
しかし、土地家屋調査士としての職務をまっとうできるなら自社で買い付ける土地を測量しても問題はないです。

 

 

 

Q4:
土地購入を検討していて、希望の土地を確定測量してほしいと不動産屋さんに伝えたらものすごくイヤな顔をされました。
なぜでしょうか。

A:
わかりやすい不動産業者さんですね。
3つのポイントに整理してお話します。

1つ目は、不動産を買うのは競争である
いい物件を買おうと思ったら、買うのは競争です。
買いたいという人は、他にもいるわけですから、
売主さんからすると、わざわざ注文の多い人にうる必要もないということも考えられます。

そう考えれば、多少のリスクを取ったとしても、
買ったあとに買主さんの費用で確定測量するというのもあると思います。

2つ目は、不動産業者さんのデメリット
・測量費用の負担について売り主を説得する必要がある
・売り主の気が変わる可能性
(やっぱり売らないと言い出すかも)
・境界確定ができない可能性もある
(そうなると売買中止)
・仲介手数料が入るのが遅くなる
(今月のノルマが達成できない?)
・単純に面倒くさい

3つ目は、相手の立場を考える
まず不動産業者さんが所有者であり売り主になるパターン。
売り主ではなくて不動産仲介の場合は両手と片手のパターンがあります。
・不動産業者さんが売り主になる物件では、確定測量済みのことが多いと思います。
測量済みでない場合は、確定測量をお願いする交渉もしやすいのでしょう。
仮に測量を入れるのを嫌がられる場合はなにか事情があるかもしれません。
とにかく、売り急いでいる。
隣の人と境界確認ができない事情があるのか。
実測面積が登記面積より少ない可能性がある。

・不動産仲介の場合は両手と片手というのがあります。
両手というのは、売主側と買主側を一つの不動産会社が仲介するパターンです。
片手は、売主さん側の不動産業者さん、買い主さん側の不動産業者さんが別に付くパターン。

両手の場合は売主さんの諸事情も、あらかじめ分かっているので、
確定測量をしたいと言ったら「じゃあ売らない」とか帰ってくる答えが予測できる。
だからイヤな顔するということも考えられます。

こんなことが考えられます。

 

Q5:
土地家屋調査士は、即独しやすいでしょうか?
A:
土地家屋調査士は士業の中では、実務経験なしでの独立(即独)は最も難しいです。
・測量の作業が1人では、できない
・独立時の諸費用が他の士業より大きい
・測量をするのに実務経験が必要
この辺が即独の障壁となります。

即独というと司法書士さん、行政書士さんでは即独される人がいます。
・業務が一人でできること
・独立時の諸経費がほとんどかからない
・実務経験がなくても、なんとなる
これらがあげられます。

土地家屋調査士でも、測量経験者であったり、測量の依頼受けない、
他の土地家屋調査士と共同で独立するのであれば即独は無理ではありません。

ただし、実際に土地家屋調査士で即独する人は、少ないです。

Q6:
公共嘱託登記土地家屋調査士協会の社員って大変(激務)なのでしょうか?

A:
公嘱公職の仕事は、その都道府県によってだいぶ事情が違います。
私は15年くらい前に、3年間くらい公嘱協会の社員として登録していました。
3年間のうちに携わった業務は、建物表題登記1件だけです。
結構大きな建物で、報酬は18万円くらいだったと記憶しています。
報酬のうち、上納金として10%くらい差っ引かれました。
私の通常の報酬の半分くらいの金額です。

仕事量は少ないですし、報酬的にも安いです。
この安い金額で数をやらされたら大変(激務)だと思います。

公嘱については、その地域によってだいぶ事情が違います。
その地域の先輩調査士さんに聞いてみるのが良いです。

 

Q7:
50歳から調査士デビューする人なんているんでしょうか?
A:
50歳からの土地家屋調査士のデビューは、全然ありです。
土地家屋調査士の新規登録者の年代別の構成比をお知らせします。
平成30年度のデータです。
20歳代:21人(7.3%)
30歳代:83人(28.9%)
40歳代:124人(43.2%)
50歳代:40人(13.9%)
60歳代:15人(5.2%)
70歳代;3人(1.0%)
80歳代:1人(0.3%)

年齢別の新規登録者ですが、
40歳代までが79.4%
50歳代以上が20.4%

50歳というのは決して若くはないですけど
50歳代以上の新規登録が20.4%いるわけですから、全然無理な年齢ではありません。

資格制度は年齢の制限がないというのが非常に大きいです。
仮に75歳まで仕事を続けるとしても50歳から25年間も働けることになります。

50歳から土地家屋調査士デビューするメリットというのは大きいです。

Q8:
今56歳で会社員をやってます。調査士の有資格者です。
即独は難しいので補助者をやりたいのですが断られます。どうしたら良いですか。

A:
方法は3つ考えてみました。
1つ目は、
とりあえず会社員をやりながら、休みの日に土地家屋調査士事務所でアルバイトをするのはどうでしょうか。
土地家屋調査士って、一人で事務所を運営している人って結構多いんです。
常勤で人を雇うほど仕事はないけど、週に1日、2日手伝ってくれる人がいると助かるという事務所はたくさんあります。
そういう事務所に片っ端から、声をかけて「土曜日、日曜日、祝日ならできますので、アルバイトさせてください。」といえばいいと思います。
2つ目は、
土地家屋調査士法人に入って、独立してしまうという方法です。
他の社員である土地家屋調査士の仕事を手伝いながら仕事を覚える。
同時に、自分の営業活動をしながら顧客を増やしていくというのはどうでしょうか。
3つ目は、
即独をして、測量を伴わない業務を行っていく。
そして測量の仕事が入ったら、他の土地家屋調査士を紹介する。
その代わりにその測量業務の手伝いをさせてもらう。
あと独立して、しばらくは仕事はヒマです。
その時期に他の土地家屋調査士事務所のアルバイトをして、経験を積んでいくというのも良いと思います。

3つパターンを提示しましたけど参考にしていただければ幸いです。

 

Q9:
変化の激しい時代ですが土地家屋調査士はどのように変わると思いますか?

A:
この業界がどうなっていくか?
私個人の勝手な想像、妄想、憶測なんですけど
3つお話します。

①行政の効率化が進んで大半の行政手続きは不要になる
今でも、やる必要があるのか疑問になることがあります。

・地目変更については、固定資産税の調査を自動的にそのまま登記に反映させれば、
土地家屋調査士の地目変更登記の申請は大半は必要なくなる。
・建物表題登記については、建築確認の内容が完了検査を受けることで、
その内容で建物表題登記が自動的にされる。
今までは、2重、3重に同じような手続きが各縦割り行政で行われていました。
これが効率化されて大半の手続きが不要になる。
そんな感じがいたします。

②無資格者による業務の取締の強化
①に関連しますが、行政手続きの効率化で士業の仕事は減っていきます。
資格者が余る。
そうなると、これまで大目に見られていた無資格者の業務に対して厳しくなる。
個人申請の名目で、無資格者が登記申請書を提出するということが厳しく罰せられるということになる。
補助者による登記申請書類の補正、境界立会、本来資格者が行うべき重要な業務は補助者ではできなくなる。

それによって、無資格のベテラン補助者は、ほぼ役割がなくなる。
土地家屋調査士事務所、測量会社、建築会社は、土地家屋調査士の有資格者を雇用するようになります。

③筆界(境界)点は、ほぼすべてが座標で管理されるようになる
国土調査、区画整理、公共事業が進んでいって、境界点にはほぼ世界測地系の座標値が入ります。
土地家屋調査士が行う測量業務の大半は、単純作業になります。

・すでにある座標値から分筆の地積測量図を作成して、土地家屋調査士が現地に分筆の杭を入れる。
・工事などで境界杭がなくなったら、基準点から復元する。

今までのような、土地家屋調査士の経験、技術、知識が必要ない単純作業になるのではにかと思います。
すぐに変わるわけではありませんが、グラディエーションのように少しづつ変わっていきます。

当たるか、当たらないはわかりませんが、想像、妄想、憶測ということでお話しました。

今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/
最後のお願いです(^^)
公式LINEと無料メルマガをやってます。
LINEまたはメルマガ、どちらかに登録して貰えると嬉しいです。