役所との折衝でやってはいけないこと
土地家屋調査士の仕事をする上で、役所と折衝する場面というのがあります。
例えば、登記の申請するときは法務局、道路など公共用地との境界線の協議、農地を地目変更するときにも農業委員委員会とのやり取りもがあります。
役所との折衝をあまり経験したことがない人にとっては、なにか独特で、少し怖いなと思うこともあるのではないでしょうか。
今回は、役所との折衝をどう進めていくのか?
やってはいけないNG行動は何か?についてお話をします。
どーも(^^)
開業21年、土地家屋調査士の杉山です。
このチャンネルでは、土地家屋調査士としての経験、知識、考え方をお話しています。
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役所の人というのは、10年、20年くらい前までは、おかみみたいな感じで上からものを言う人が多かった。
しかし、現在はだいぶ体質が変わって、役所の人は親切、丁寧で、いい人が多いです。
ただまれに、ぶっきらぼうで態度の悪い人もいます。
それは、役所だからということではなくて、人が集まる団体であれば、どこでも変な人はいます。
人が多ければ多いほど変な人が混じってる。
それは、どの団体でも同じです。
土地家屋調査士の仕事をうまく進めていくためには、役所の人といかに良好な関係をつくって、必要な情報を提供してもらう。
私たちは依頼された業務を円滑に手続きが進めて行くことがミッション。
そのために、役所の人とどうやって協議を進めるのかが、重要です。
それでは、役所との折衝のポイント7つをお話します。
1つ目は、役所の人との話し方
役所というのは、お店ではありません。
聞かれたことには答えるけれど、聞かれていないことまで先回りして答えることはあまりないです。
業界に入って間もない人だと、役所の人に専門用語を並べられて「あわわ、あわわ」という状態で、
それ以上は、質問も出来ないなんて状態になることもあります。
役所の人でも、サービス精神が旺盛で親切にいろいろ教えてくれたり、あまり専門用語を使わずにわかり易い言葉で話してくれる人もいます。
しかし、そういう人は少ないので期待しすぎないということです。
こちらとしては、
まずは仕事を円滑に進めていくために、役所の人にいかに協力をしてもらうか、必要な情報を出してもらうかというゲームをする感覚。
たまに腹がたつこともありますけど、ゲームをしている感覚でクリアしていきます。
つぎに、あらかじめ質問する内容はまとめておく。
その場で、考えながら質問をするのでは、役所の人もイライラしてきますし、質問に漏れがあるとまた後で聞きに行かないといけないということになります。
そして、たまにはオープンクエスチョンも使ってみる。
前にも言っているように、役所の人というのは聞かれたことに答える。
聞かれてないことには答えないという性質があります。
そうであれば、たまにはオープンクエスチョンで相手にボールを渡しちゃいます。
「他に、この課で出せる資料はなにかありますか」
「この手続で他に注意することはありますか」
「地目変更ができる何かいい方法はないでしょうか」
「この仕事進めるのにどうしたらいいと思いますか?」
イエス、ノーで答えられない質問をしちゃう。
もちろん「そんなのプロなんだからそちらで考えてください。」とか
「そんなこと聞かれても困ります」というように返されることもあります。
ただ役所の人からいい話が聞けることもあります。
聞き方を工夫することで教えてくれることもあるでしょう。
2つ目は、折衝に地元の議員さんを使うのはどうなの
結論を言うと、議員を入れるというのはおすすめいたしません。
難しい案件のときに、地元の議員の人に折衝に加わってもらうことがあります。
と言うのは、不動産業者さん、建築業者さんの場合、地元の議員さんの後援会に入っていることが多いです。
そして、何かあったときに議員さんの力を借りるということになりやすい。
当然に、議員さんも後援会の有力者のお願いですから、無下に断らずに役所に顔を出すという状況です。
そして、対応する役所の職員さんも議員さんですから丁重に対応するということにはあります。
なので場の雰囲気は、これで手続きがいい方向に進んでいくような空気にはなります。
しかし私の経験で言うと、そのままいい展開になった試しが無いです。
いい方向というのは、
まずは、行政の処理が早くなるのかですが、議員さんが入って処理が早くなるということはありません。
つぎに、手続きの内容がグレーゾーンの場合です。
できる、できない。白か黒か、これがいい方向に行くというよりは、議員さんが入ることでより審査が慎重になるという感じです。
このことは元県庁職員のYouTuber失敗小僧さんもおっしゃってました。
したがって、議員さんが入ることで役所の職員の審査は、より慎重になり、
早くなるどころか、より審査に時間がかかる。
グレーゾーンの場合は、結果が変わらないか、こちらが望まない方向に行きやすくなります。
議員さんが入るといい方向に行かないということです。
ただし、依頼者さんに議員の〇〇先生に動いてもらってという話になりますと、代理人である土地家屋調査士としては、
「やめたほうがいいですよ」と助言はしても、なかなか止めきれません。
役所の人の立場からすると、議員さんなど圧力が加わったことで、手続きを優遇したと思われるのが嫌だと思うんです。
私の経験上、議員さんが入ったことで役所の審査が早くなることや、申請ができるできないなどこちらの望む方向に進むことはありません。
慎重にお考えいただいたほうがよろしいかと思います。
3つ目は、事前に相談するのはやぶ蛇なの?
例えば、田んぼとか畑の農地を農地法の許可を受けずに建物を建築した。
そして建物の表題登記あるいは地目変更登記の依頼をされました。
このことについて、農業委員会に「建築された建物について農業委員会はどう扱うか?」と質問したとします。
相談されるまでは、農業委員会は農地法に違反した建物があることを把握していなかった。
質問をしたことで、農地法に違反をしていることが発覚して所有者に催告がされて、最終的に原状回復(建物の取り壊し)の命令が出る。
要するに質問することによって悪い方向に進んでしまう。
質問がやぶ蛇になるということが、あるのか?ということです。
これは、正直わからないですよね。
もし、気なるような事案であれば、物件が特定できないように質問する。
一般的な質問として、役所の人に聞くのがよろしいかと思います。
4つ目は、人事異動の対応
役所の場合に、4月に大きな人事異動があります。
土地家屋調査士の業務をしていると、
事件の処理に半年、1年、複雑な案件となりますと数年がかりで行うこともあるでしょう。
当然に、役所の担当者が人事異動で変わることがあります。
人事異動で担当者が入れ替わるときに、きちんと業務の引き継ぎをされることもありますし、後任の担当の人がほとんど把握されていないということもあります。
こちらとして出来ることとしては、打ち合わせの記録をきちんと残しておいて後任の人に説明が出来るようにしておくこと。
それとなく、役所の人に「今度の4月に人事異動なんてことないですよね。」と聞いておく。
もちろん役所の人はハッキリとは答えてくれませんが、「この部署は3年目なので異動の可能性はあります」くらいのことは言ってくれます。
異動の可能性が高いのであれば、なんとか4月までに完結するあるいは、ある程度のところまで進めて後任の人が方向転換出来ないようにしておく必要があります。
前に、登記上は地番があるにも関わらず、公図(地番と土地の形状がわかる土地の見取り図みたいな図面)にその土地の地番が出ていないということがありました。
現在の公図を書き直す前の旧公図を見ても地番が載っていない状態です。
資料としては地積測量図の隣接地番として記載されている。
なおかつ市役所の道路境界の図面にその土地の位置と形状が図示されている。
この状態で登記官と打ち合わせをして、法務局の筆界特定制度で筆界の特定をした上で公図の訂正をしましょうという話で進んでました。
そこで人事異動があって、後任の登記官と進めて行くことになって、またゼロから後任の登記官に説明をして、
結局は、筆界特定制度を使わずにそのまま公図訂正の申し出をしていいということになりました。
これはいい方向に行ったラッキーな方向転換でした。
しかし、人事異動が良くない方向に行くこともありますので注意は必要です。
5つ目は、専門用語がわからない
新人の人に役所に調査に行ってもらうと、市役所に専門用語を並べられて何を言ってるのかまったく理解が出来ない。
事務所に半泣きで帰ってくるなんてことがあります。
わからない言葉が出てきたときに「それはどういう意味ですか?」と聞き返す。
しかし、その説明にまた専門用語が出てくる。
わからない言葉が1つ、2つならまだなんとかなりますが、3つ、4つと続いてくるとヒエ~という感じで質問することもできなくなります。
また、質問したときの役所職員の嫌そうな顔を見てしまうとすっかり萎縮してしまいます。
多くの人がそのような経験をしているのではないしょうか。
前に言ったように、役所の職員というのは、ものすごい人数がいます。
親切にわかりやすい言葉で説明してくれる人もいるし、
相手の理解度と関係なく専門用語を一方的に並べてくる人もいます。
私も同じような思いを何度もしてきました。
とにかく、わからない言葉は一語一句メモをとって、後で調べる。
今は、ほとんどのことはネットで調べられます。
調べられないことは、事務所の先生や同僚、同業の友だちがいれば聞いてみるのも良いでしょう。
分からないことはそのままにしないで、分かる言葉を増やしていくことが大事だと思います。
6つ目は、名前を聞く、メモを取る、録音
役所の人と話をするときには、何月何日に誰と話の内容についてメモをしながら話をします。
あとで言った言わないにならないようにしています。
名札をつけていることが多いので、名札を見て名前を書くか名札が見えづらければ、
「お名前を教えていただけますか」と名前を訪ねます。
メモを取って名前を確認することについて、気分を害する役所の人はほとんどいないと思います。
録音は基本的にはしないです。
ただし、本当に重要な局面のときには録音することもあります。
これ見よがしに、ICレコーダーを目の前に置くということはしませんが、そっと記録させてもらうという感じです。
自分自身のためにも、役所の人のためにも、言った言わないにならないようにきちんと記録に残しておいたほうがよろしいかと思います。
7つ目は、喧嘩はしないほうが良い
昔で補助者のときなんですけど、法務局の登記官でものすごい態度の悪い人がいて、
本当に頭に来てまわりが振り返るくらい大喧嘩したことがあるんです。
それからその登記官が人事異動でいなくなるまでダメでした。
どうでもいいような補正を命じられるなどチクチク嫌がらせをされます。
たまに役所で、職員と喧嘩をしている人を見かけますが、
円滑な手続きを望むのであればやめたほうがいいです。
人間ですから頭にくることもありますけど、喧嘩したところで、業務の処理が円滑に進むこともないですし、
むしろ相手も人間ですから、嫌がらせをされる可能性があります。
役所の人も、気に入らない相手に情報を出そうと思わない。
聞かれても必要最小限の情報しか出さないですよ。
何かあれば仕返しをしようと思うのは当然だと思います。
円滑に業務を進めて行こうと思うのであれば、役所の人とは友好な関係を築くのが大切です。
それでは、役所との折衝のポイントを7つ振り返ります。
1つ目は、役所の人との話し方
たまにはオープンクエスチョンで聞いてみる
2つ目は、役所との折衝に地元の議員さんを使うのはどうなの?
議員さんを入れていい方向に行くことはありません。
3つ目は、事前に相談するのはやぶ蛇なの?
やぶ蛇になる可能性がある場合は、物件の特定ができないように一般的なこととして質問します。
4つ目は、人事異動の対応
4月に大きな人事異動があります。担当者が変更しても円滑に業務が進むように備えましょう。
5つ目は、専門用語がわからない
分からない言葉は聞き直す。自分で調べて語彙力を増やしましょう。
6つ目は、名前を聞く、メモを取る、録音する?
打ち合わせをした人の名前と日付、内容を記録してあとで言った言わないという状況にならないようにします。
7つ目は、喧嘩はしないほうが良い
喧嘩をすると後々まで尾を引きます。
役所の人とは友好な関係を作りましょう。
今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/
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