土地家屋調査士になりたいと思ったらはじめに読む本

「今回は、資格予備校LECで土地家屋調査士試験の講師を務めている木村真弓先生の新刊本を紹介します。

そのタイトルは「土地家屋調査士になりたいと思ったら最初に読む本」です。

この本には、土地家屋調査士の魅力がたっぷりと書き記されています。

 

まず、実際に土地家屋調査士として活躍している実務家の紹介。

次に、「土地家屋調査士って一体どのような仕事なのか」、「実際に稼げるのか」などについて解説します。

そして、土地家屋調査士の試験の概要と合格者の体験談をご紹介します。

 

この動画をご覧いただければ、土地家屋調査士の実務と試験、そしてその将来性について理解いただけると思います。

ぜひ、最後までご覧いただき、多くの情報を得てください。

 

 

 

 

 

1.土地家屋調査士の仕事のリアル

本の中では土地家屋調査士として活躍する実務家が紹介されています。

それぞれ特徴を持った土地家屋調査士です。

自身の個性を存分に活かしながら活躍する姿に引き込ませれていきます。

それでは、実務家の3人を簡単に紹介していきましょう。

豊田浩司先生

 

「土地家屋調査士の仕事の魅力は、移動手段と機材、そして現場さえあれば日本全国どこでも行けるという点です!」 豊田先生は、楽しそうに語っています。

開業してから3年目にして、北海道、東北、北陸、関西、九州と、全国を飛び回って仕事を経験したことはとても刺激的だったと述べています。

 

私自身も、遠方の現場というのは大好きです。

北は仙台から南は岡山まで、仕事で訪れたことがあります。

遠く離れたところに土地を相続などで所有していて、その土地の地域では土地家屋調査士の知り合いがいないという人々もいます。

遠くても、知っている人に仕事を依頼するというケースもあるのです。

遠方の現場では、旅行のような気分で、その地域の美味しいものを探してみます。

仙台なら、牛タン、牡蠣、あおば餃子などを堪能します。

 

仕事を通じて様々な地方に行けるのも、土地家屋調査士の仕事の魅力の一つと言えるでしょう。

 

 

 

島野幸先生

 

司法書士の夫とタッグを組んで仕事をするために、土地家屋調査士を目指すことを決意しました。

結婚後に子供を授かり、10年以上専業主婦を続けていました。

社会から遠ざかり、勉強のやり方もまったく分からずに、困惑したそうです。

そこで、資格予備校であるLECの初学者コースを受講しました。

授業が面白くて、興味深く勉強が出来て2年目で合格。

 

夫の司法書士事務所と合同事務所として、土地家屋調査士を開業しました。

自宅での勤務なので、子供の学校行事や急な病院などのスケジュール調整はしやすいというメリットがあります。

 

私自身の話で恐縮ですが、自宅兼事務所で妻と二人で運営をしております。

妻は、働きながらPTAの活動を積極的に行っています。

また、仕事をしている途中でも、雨が振りそうなら自宅の洗濯物の取り込みを行うなど、一般の会社員では到底できない働き方をしています。

自宅兼事務所で、家族運営をいうのは、子育て中の忙しい主婦にとって理想的な働き方とも言えるでしょう。

 

 

石川温彦先生

個人的に良く存じ上げていて、YouTuberとしてもお馴染みの先生です。

代表である石川温彦先生が土地家屋調査士の資格者で、奥様の行政書士と合同事務所を営んでいます。

土地家屋調査士と行政書士の業務では、関連することが多く互いの業務がシナジーを起こすと仰ってます。

例えば、土地家屋調査士の業務の中には、土地の利用状況に変更があったときにする「地目変更登記」というのがあります。

土地の地目が「畑」である土地に建物を建築した場合には、「宅地」に「地目変更登記」をする必要があります。

農地である「畑」を農地以外に地目変更登記をするためには、農地法の許可が必要なのです。地目変更は土地家屋調査士、農地法の許可は行政書士と2つの資格者が連携して業務を行う必要があります。

土地家屋調査士と行政事務所の合同事務所を運営することで手続きをよりスムーズに行うことができるのです。

 

また、行政書士が行う許認可業務には、複雑な図面作成を必要とする仕事が多いのだと言います。

石川先生の事務所では、土地家屋調査士と合同ですから、複雑な図面作成もお手の物。

他の行政書士事務所から、図面を作って欲しいと依頼されることも多いと言います。

 

土地家屋調査士と行政書士の資格でシナジーを最大限に発揮している事務所と言えるでしょう。

 

 

 

2.土地家屋調査士の資格のリアル

①  土地家屋調査士が活躍する場面とは

土地や建物について何らかの変更をしたときに、土地家屋調査士が関わることがあります。

実は、みなさんも知らないうちに土地家屋調査士と関わりを持っていることがあるかもしれません。

 

まず、マイホームを新築したとき

建物の種類(居宅)とか、構造(木造とか鉄骨造)とか、あるいは建物の規模(面積や階数)などを「建物表題登記」と言って法務局に登記をしなければいけません。

 

つぎに、建物を取り壊して土地を駐車場にしたとき

建物を解体したときには、建物の登記を閉鎖する手続き「建物滅失登記」をします。

また、土地が宅地から駐車場に利用目的を変更したときには、「宅地」を「雑種地」に変更する「地目変更登記」をします。

 

さらに、土地の所有者が亡くなって相続人3人で土地を分けるとき

例えば300㎡土地を長男、次男、三男で、100㎡ずつ3つに分けたいという場合には、測量をして「土地分筆登記」をする必要があります。

 

土地や建物に関することというのは、沢山の業者が関わってきます。

所有者さんは、意識はしていなくても実は土地家屋調査士が仕事をしているということがあります。

 

②  測量士と土地家屋調査士どう違う

道路上で作業服を着た人が、測量の器械を覗いているのを見かけることがあるでしょう。

著者の木村先生も子供のころ、「大きなカメラで映画の撮影でもしてるのか」と思っていて機械に向かってピースサインとかしていたそうです。

確かに測量をしていると、子供が近寄ってきて「おじちゃん何やってるの?」なんて聞かれて「土地の境界線を測ってるんだよ」なんて答えることもあります。

 

実は、作業着を着て測量している姿だけを見ても、測量士か土地家屋調査士の違いはわかりません。

違うのは、測量の目的なのです。

土地家屋調査士は、登記をすることを前提に測量をしています。

土地の面積を正しい面積に訂正する「地積更正登記」

宅地の分譲などで大きな土地を区画する「土地の分筆登記」

当事者同士で境界紛争を解決できない場合には、「筆界特定制度」の申請を法務局にすることもあるでしょう。

土地家屋調査士は、土地の筆界や面積を正確な図面を作成して、登記することを目的に測量をしています。

 

一方、測量士は公共事業を行うための測量がメインとなります。

例えば、道路やトンネル、ダムを創るときの測量となりますので、おのずと測量の規模が大きいものとなります。

 

一般に、土地家屋調査士と測量士の違いは分かりづらいところだと思います。

土地家屋調査士は、土地の筆界の測量で登記をすることを前提に測量をしています。

測量士は、公共事業がメインで、道路やトンネル、ダムなど規模の大きな測量となります。

 

 

③  どんな人が向いているのか?

こんな人は向いてません。

外で仕事をすることを望んでいない人。

「私、事務所で冷暖房完備、常に室温25℃でないと駄目なんです」

「はい、お帰りください」

暑い日も寒い日もあります。日焼けもします。

日光を浴びることでビタミンDを生成します。

ビタミンDは骨を健康に保つだけでなく、免疫力の向上に役立ちます。

太陽の下で、健康的に働きたい人が向いてる仕事です。

 

大雑把な人も向いていません。

「測量というのは誤差がありますから、大体合っていれば良くない?」

「ブー、駄目です」

「測量をするときには、1mm、2mmに拘ります」

境界杭をミラーで測るときは、ピッタリ杭の中心にミラーを立てるようにします。

ミラーを立てるときはピッタリ垂直に、器械を覗くときにはピッタリ照準を合わせます。

ピッタリ、ピッタリ、ピッタリです。

測量の誤差というのは、杭の中心に立てるという事自体は、1mm、2mmの僅かな誤差であってとしても、ポールを立てる、測量機械で観測すると言った作業を積み重ねることで誤差が累積していきます。

最終的に10mm以上ズレてしまったということにならないように、注意が必要です。

ひとつひとつの作業で誤差が生じないように、丁寧にピッタリと行っていく必要があります。

大雑把な人は、向かないかもしれません。

 

そして、意外と知られていないのがコミュニケーション能力です。

土地や建物に向き合う、技術や技能を必要とする仕事なので、人と話すことは少ないだろうと思われがちです。

ところが、仕事の依頼者はもちろんのこと、隣地の所有者に境界線について説明をする、人と話す機会は意外と多いのです。

依頼者は、土地家屋調査士にお願いしているのだから協力してくれるだろうと思っています。

しかし、お隣さんはどうでしょうか。「境界線のことなんて解らないし、変なとこには関わりたくないよ」という人もいます。

依頼者や隣地の人などと、うまく調整をしていくのが土地家屋調査士の役割でもあります。

 

太陽の下で働くのって気持ちいい、細かい作業が得意、人と関わるのが好き、そんな人は土地家屋調査士に向いているでしょう。

 

 

④  どのくらい稼げるの?

土地家屋調査士を目指すと考えた時に、やはりお金のこと大事ですよね。

実際、土地家屋調査士って稼げるの?っていう話です。

もちろん人によって違います。

年間300万円くらいの土地家屋調査士もいますが、1000万円を超えている人も多くいます。

現在、土地家屋調査士の数は2020年現在で全国約16000人です。

都市部でも、地方部でも業務の量に対して土地家屋調査士が足りていないのが現状です。

とは言っても、「営業とかやってことないし、苦手なんだよね」そう思う人もいるでしょう。

一般の仕事に比べて報酬は低いですが、公共嘱託登記土地家屋調査士協会という組織があります。

公共事業による登記や測量の案件を一括で受注して、協会の社員である土地家屋調査士に分担して仕事を割り振っています。

 

これは私の意見ですが、土地家屋調査士は仕事を選り好みしなければ、まったく仕事がないということはありません、

例えば、大手のハウスメーカーの中には、納期が短く予算の少ない仕事もあります。

このような仕事は、ベテランで実績のある土地家屋調査士は敬遠します。

仕事をしてくれる土地家屋調査士を常に探している業者は沢山あります。

開業したてで仕事がない人や若い土地家屋調査士は、予算の少ない仕事をやりながら実績を作って、徐々に効率が良い仕事にシフトしていくことで良いと思います。

 

他の業種に比べたら、廃業の確率はかなり低い職業だと思います。

 

 

 

 

3.土地家屋調査士の試験の概要

 

①  どんな試験

土地家屋調査士の筆記試験は、例年10月の第3日曜日に行われます。

午前の部と午後の部があって、午前は平面測量と作図についての出題がされます。

測量士補の資格がある人は、午前の部の試験は免除されます。殆どの受験者は、まず測量士補の試験に合格して午前の試験の免除を受けて、午後の筆記試験1本に絞って全力投球をします。

午後の筆記試験は、法律択一式20題は不動産登記法をメインに、民法、土地家屋調査士法から出題されます。

択一式のほかに、書式の問題、登記申請書と図面作成が土地、建物の各1題で合計2題、出されます。

そして、筆記試験の合格者に対して、翌年1月に口述試験が行われます。口述試験は、試験管の質問に対して、受験者が口頭で回答します。

口述試験については、ほとんど不合格になることはありません。

 

筆記試験の午前の部は、測量士補試験に合格して免除を受けます。口述試験は、ほとんど落ちる人はいません。

つまり、10月の筆記試験の午後の部が土地家屋調査士試験の勝負どころで間違いありません。

 

②  試験の難易度は

土地家屋調査士の試験に学歴などの受験資格はありません。誰でも受験をすることができます。

試験の難易度でいうと、合格率が8%~10%です。

相対評価の試験なので、何点以上取れば合格といった採点基準はありません。

その年の受験者数や問題の難易度によって合格点は変わってきます。

難関試験の一つと言われていますが、しっかりと対策を取れば、一発合格が可能な試験だと木村先生は言っております。

資格試験の難易度を難しい順に並べてみると、司法試験⇒司法書士試験⇒不動産鑑定士⇒公認会計士⇒社会保険労務士⇒土地家屋調査士⇒行政書士だと言っています。

位置づけとしては、社会保険労務士よりも少し易しくて、行政書士より少し難しいという位置にあるかと思います。

 

土地家屋調査士の試験は、ギャップが面白い試験です。

・六法を使って法律を学ぶ

・測量のための数学を学ぶ

・三角定規を使って作図をする

こんなに、いろんな要素を試される試験はほかにはありません。

 

ギャップを楽しみながら、飽きずに勉強ができると思います。

 

 

4.土地家屋調査士試験の合格者インタビュー

 

藤田由華様

働きながら、主婦をしながら合格!

おすすめの「ながら」勉強法

元々は、電気関係のベンチャー企業で働いていました。

20代でも責任ある仕事を任されて、仕事にやりがいを感じていました。

ところが、勤め先の業績が悪化していき、「このままでは40歳くらいで職を失うのでは」と転職を決意します。

どんな職業がいいか探しました。

○やりがいのある仕事でできれば技術職。

○何かを勉強し続けられる仕事。

○定年がなく、できるだけ歳をとっても仕事がしたい。

○女性でもバリバリ働ける。

 

この条件にピッタリ合っていたのが「土地家屋調査士」でした。

そこから一念発起、土地家屋調査士の勉強を開始したのです。

 

しかし、働きながら、主婦をしながら時間がない中での勉強は大変でした。

そして、たどり着いたのが「ながら勉強法」

○家事やメイクをしながら、2度、3度講義を聞く。

○メモアプリに、申請書の書き方や論点を入れて、トイレなどのちょっとしたスキマ時間に目を通す。

○通勤時間20分には、理論のテキストを読み込みました。

 

時間がないという最大の課題を「ながら勉強法」で克服しました。

「絶対にこんなところで負けない」という気持ちがあったから乗り越えられたと語っています。

 

 

 

永野寛人様

家族がいる、特に小さい子供がいる家庭ではなかなか難しいのが勉強時間を確保することです。

奥さんは、家事や子育てで忙しい。子供は「パパ、パパ」と纏わりついて来ます。

子供を邪険にして、勉強するというのは父親としては至難の業です。

そこで永野さんがとった作戦が、「朝学習」でした。

毎朝、3時から6時30分まで早朝学習をしました。

 

内容は、土地、建物の書式を1問ずつ行い、残りは択一の勉強に当てたそうです。

早朝学習は、誰にも迷惑をかけず、頭も冴えて、余計なストレスも溜まりませんでした。

 

またTwitterを介して、土地家屋調査士試験の受験生の仲間と出会い、一緒にオンライン学習をしました。

仲間同士で、質問をすることも度々ありました。

仲間の質問に対して、自分の言葉で説明ができない場合は理解が足りていないと気づくことができたのです。

仲間とオンラインで、本試験形式で学習をしたのが効果的だったと言います。

2時間30分とキッチリ時間を測って行う形式は、一人で行うのとは違う本試験さながらの緊張感があり、いい練習になりました。

 

偏差値50くらいの高卒で、決して勉強が得意ではありませんでした。

しかし、土地家屋調査士の試験に一発合格できたのは、家族の協力と朝学習、そしてオンラインで知り合った仲間と効果的な学習ができたからです。

 

 

以上、 木村真弓先生の「土地家屋調査士になりたいと思ったらはじめに読む本」を紹介させて頂きました。

今日、話した内容は、こちらの本のごくごく一部のみです。

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