大きい事務所VS小さい事務所、仕事を頼むならどっち?

土地家屋調査士に仕事を頼もうと思ってるんだけど、大きい事務所VS小さい事務所のどっちがいいんだろう?

土地家屋調査士の事務所というのは、1人、2人で運営している事務所が殆どです。

一方で、土地家屋調査士の法人として30人、50人と大人数の組織として運営している法人もあります。

では、大きい事務所VS小さい事務所でそれぞれ、どのような特徴があるのでしょうか?

今回の動画を観ていただければ、業務を依頼する上で大きい事務所VS小さい事務所のどちらを選ぶかの判断材料になります。

ぜひ、最後までご覧ください。

 

 

それでは今回のトピックです。

  • 大きい事務所の特徴
  • 小さい事務所の特徴
  • 依頼者、紹介者、土地家屋調査士の頭の中

 

 

 

 

1.大きい事務所の特徴

10人以上となると土地家屋調査士としては、かなり大きな事務所ということになります。

30人、50人となると土地家屋調査士としては巨大な組織とも言えるでしょう。

それでは、実際に大きい事務所に仕事を依頼するメリットとデメリットについてお話をしていきます。

 

①    大きな事務所のメリット

・知名度や信頼性がある

やはり小さい事務所よりも大きい事務所のほうが安心するという人もいらっしゃるでしょう。

大手の不動産会社が自社で業務を依頼する場合に、大きい法人事務所を好む傾向はあります。

沢山の業務の依頼を受けて、大勢の人を雇用しているのだから、それなりの仕事をしてくれるだろうという安心感に繋がるでしょう。

 

・廃業する可能性は個人事務所よりは低い

個人事務所の場合は、代表者の病気や高齢などの理由で廃業する可能性もあります。

しかし、大きい事務所の場合は次に代表を務める人材はいるでしょうから廃業の可能性は個人事務所よりは低いと言えます。

 

・スケールメリット生かした運営

大きい事務所であることで、業務の効率化やコストの削減をすることが可能です。

例えば、20人いる事務所でコピー複合機を1台用意すれば足りるでしょう。

一方で、1人の個人事務所でもコピー複合機が1台は必要になるわけです。

コピー複合機を例にしましたが、このようなことが様々なところで起こります。

そのため、仕事の量に対する経費の比率というのは、事務所の大きい小さいでかなり変わります。

また、仕事を分業化することで効率を上げることもできるでしょう。

Aさんは登記申請書の作成、Bさんは測量業務といった具合に業務を分けることで生産の効率化を図ることも出来ます。

大きい事務所の場合は、スケールメリットを生かして生産の効率化とコストの削減が可能です。

 

・薄利多売の方式が可能になる

前提として、大きい事務所でも報酬金額の高い安いというのはあります。

ただし、スケールメリットを生かして薄利多売の戦略も可能であるということです。

一方で、小さい事務所の場合は、薄利多売という戦略は原則ありません。

小さい事務所で、安いというのは、開業したての人、もしくは著しく集客力の低い人です。

仮に、集客に優れた人が安い報酬で仕事をするとすぐに人手が足りなくなって大きい事務所になります。

 

 

 

②    大きな事務所のデメリット

 

・誰が業務を担当するかわからない

大勢の人がいれば、当然にすごく優秀なスタッフもいるし、残念ながら優秀とは言えない人もいるでしょう。

もちろん、指名して気に入った土地家屋調査士を担当してもらうこともできると思います。

しかし、最初に依頼するときには、誰が誰だか分からない状態で指名のしようもありません。

例えば、30人いる事務所でそのうち土地家屋調査士が10人いる。

土地家屋調査士の資格を持っていない人が、担当者になることはないと思いますが、10人全員が優れた土地家屋調査士であることは考えにくいです。

土地家屋調査士の業務の殆どは、資格を持っている人しかできないのです。

境界立会は、資格がない人ではできない代表的な業務です。

資格のない補助者(従業員)は、あくまで土地家屋調査士のサポート的な仕事しか出来ません。そのため大きい事務所では、土地家屋調査士の資格のある人を優先的に雇い入れたいと考えるのが必然でしょう。

ということは、経験やスキルなどが不足していても、資格のある人は優先的に雇い入れられると考えます。

大きい事務所では、誰が担当するかわからないことがデメリットと言えるでしょう。

 

 

・大口のお客さんが優先?

大きい事務所では、大口のお客さんが何件かあると思います。

例えば、電力会社、鉄道会社、大手のハウスメーカー、マンションデベロッパーなどなど。

1社だけで数千万円、数億円の売上が立つ顧客がボンボンボンと何社かあると思います。

その中で、街の不動産会社、司法書士などの士業の人、個人の地主さんといった仕事がパラパラっとあるといった顧客の構成が多いでしょう。

例えば、500世帯のマンション開発といった大きな事業では、事務所の業務のウェイトはマンション開発がメインとなると思います。

もちろん大口のお客さんを優先して、細かいお客さんは御座なりということはないとは思います。

しかし、事務所の中でも優秀な土地家屋調査士が大口の仕事をして、新人の土地家屋調査士が小さい仕事を担当するという構図にはなろうかと思います。

 

 

 

2.       小さい事務所の特徴

 

①    小さい事務所のデメリット

 

・仕事のキャパシティーが小さい

すぐに業務がいっぱいになる。キャパオーバー

現場に入れるのが2週間後とか依頼者をお待たせしてしまうこともあります。

とは言っても、待たせるか待たせないかは土地家屋調査士のマインドの部分も大きいと思います。

忙しくても、何とか時間をやりくりして都合を付ける人もいれば、暇でも仕事が遅い人もいます。

 

・大きい仕事が受けられない

大規模な宅地分譲で、しかも現地までの距離が遠いとなると依頼が受けづらい状況になります。

例えば、1件の仕事で500万円の仕事を進めていくとなると他の業務に影響が出ます。

その場合には、その時の他の業務の受託の状況、依頼人との関係などを考慮して依頼を受けるか断るかを判断します。

何度も取引をしていて信頼関係のある相手であれば受けるかも知れませんが、初見の人から規模の大きい仕事であればまずお断りをすることになるでしょう。

個人事務所では、大きい仕事は受けづらいということになります。

 

 

・大きい事務所と違い薄利多売という戦略というのはない。

小さい事務所の場合は、1ヶ月に処理できる業務の量と経費などを考慮して1ヶ月で必要な売上額というのがあります。

そのように考えると、例えば30坪の確定測量をするのに費やす時間を考えれば、いくら報酬を貰わないといけないか決まってくるということになります。

安い金額でやっている小さい事務所ところというのは、よほど仕事がなくて困っているか、あるいはお金のことに無頓着な人だと思います。

普通に、営業をしていればそれなりに報酬額をいただかないと出来ないということになります。

 

 

②    小さい事務所のメリット

 

・必ず、事務所の長が業務を担当する。

もし私の事務所に業務を依頼した場合には、必ず私自身が業務を担当することになります。

業務の打ち合わせ、境界立会など主要な業務を従業員が行うことはありません。

仕事を依頼しても、実際に誰が業務を行うかはわからない。

担当者が退職してしまい。また最初の打ち合わせから進めていかなくてはいけない。

業務を完了して3年後に、問い合わせをしても話が通じないということはありません。

 

 

・個人のお客様に丁寧な対応

私のように個人事務所では、大手企業の大口のお客様よりも街の小さな不動産業者や個人の地主さんからの仕事を大切にしています。

もちろん大手企業でも、支店の担当者レベルからエンドユーザーを紹介されるときには、喜んでやらせて頂きます。

ただし、大手の会社自体から宅地分譲事業などで直接継続的に業務が発注されるパターンというのは避けています。

なぜかと言うと、1社の売上比率があまりにも高くなってしまうとその1社がなくなったときのリスクがあまりに大きいということ。

さらに、大きい仕事を受けてしまうと個人のお客様への対応が難しくなることがあるのが理由です。

私としては、大手企業の売上に依存するよりも、個人や街の小さな不動産業者さんと沢山お付き合いしていくというのスタイルが好きです。

 

大手企業の仕事というは、開業して7,8年目までは、沢山やってきました。

しかし、大手企業に依存したときにその仕事がなくなる恐怖、それを分かっていて無茶を言ってくる大手企業、そして企業内の変な社内政治に巻き込まれる。

といった経験をしてきて、大手企業よりも小さい町の不動産業者や個人のお客様と心穏やかに仕事がしたいという気持ちになっています。

個人事務所を運営している土地家屋調査士は、大手企業よりも個人のお客様を大切にしている人は多いのではないでしょうか。

 

 

 

3.       依頼者、紹介者、土地家屋調査士の頭の中

①依頼者の頭の中

自分でお金を払って、土地家屋調査士に仕事を依頼する人をここでは依頼者ということにします。

依頼者は、地主、銀行で融資を受ける人、相続で土地を分けたい、不動産売買の売り主、宅地分譲事業を行う開発業者などが挙げられます。

例えば、不動産の売り主ということで話をすると、依頼者は売買の条件に確定測量が入っているので仕方なく測量を依頼すると考える人もいます。

売り主である依頼者からすれば、売ってしまえば自分の土地ではないわけですから仕事の品質よりも少しでも安くやってくれるところに頼みたいと思う人もいるでしょう。

 

昔は地主さんというと金額にあまり細かくない人が多い印象がありました。

しかし、最近ではそうとも言えません。

地主さんもインターネットで情報を見て金額などの比較検討をして土地家屋調査士を選ぶ傾向があります。

 

また、宅地分譲事業を行う業者は、例えば500㎡の土地を仕入れて5つの宅地で分譲する計画を立てるとします。

土地を1億円で仕入れて、住宅を建築して2億円で販売する。

建築や測量分筆や許認可などの経費が6千万円として最終的な利益が4000万円という計画を立てるわけです。

当然に、土地の仕入れは競争です。土地を売る人は2社、3社金額を比較して売ります。

建売住宅の販売価格も相場がありますから、高く売るといっても難しいでしょう。

そのため、仕入れ価格と販売価格を変えるのは難しいので、測量分筆、建築などの経費をいかに安くするのかが勝負になるです。

そのために、宅地分譲業者は少しでも安く仕事をしてくれる土地家屋調査士を選ぶのが必然なのです。

 

また、宅地分譲業者の場合は、規模の大きな50宅地以上の分譲と言った仕事も扱いますから、小さい個人事務所に依頼してキャパオーバーになられても困ります。

ある程度、人員がいて、品質はそこそこで、安くやってくれる土地家屋調査士を選ぶ傾向があるでしょう。

 

つまり、自分でお金を支払う依頼者の立場からすると、まずは金額、つぎに品質といった感じになろうかと思います。

人によって違いますが、金額6:品質4と考える人もいるし金額8;品質2と考える人もいるでしょう。いずれにしろ金額重視の考えになろうかと思います。

 

金額を重視するということであれば、事務所の大きい小さいとは関係なく、単純に金額だけで選ぶということになるでしょう。

 

 

②紹介者の頭の中

紹介者というのは、依頼者に土地家屋調査士を紹介する人です。

土地を売却するために測量が必要になった。しかし普通、依頼する人は土地家屋調査士の知り合いがいません。

もしくは、業務を円滑に進めていくためにいつも一緒に仕事をしている人たちで仕事を進めていったほうが、何かとスムーズに仕事が進むということで土地家屋調査士を紹介するということがあるでしょう。

 

土地家屋調査士を依頼者に紹介する人は、士業(税理士、司法書士など)、銀行、建設会社、不動産の仲介業者などの人が挙げられます。

紹介する人が考えていることは、信頼できて間違いなく仕事を進めてくれる人を選びたいわけです。つまり「安かろう悪かろう」という土地家屋調査士は避けたいという心理があります。

 

土地家屋調査士を選ぶ基準としては、まずは信頼や品質、つぎに金額という順番になります。

 

多少は、金額が高くても安心してお願いできる土地家屋調査士を選ぶ傾向があると思います。

とは言っても、あまりにも金額が高いと紹介した依頼者から苦情がある可能性もあるし、「他の土地家屋調査士を探したい」と言われてしまうこともあるでしょう。

紹介者が土地家屋調査士を選ぶ比率で言えば、品質や信頼性が6で金額を4あるいは、品質信頼と金額は8:2ということになります。

 

紹介する人としては、誰が業務を担当するかわからない大きな事務所よりも、個人事務所で代表者の人となりもわかっているほうが安心して仕事を紹介できると言えるでしょう。

 

基本的には、誰が業務を行うかわからない大きい事務所よりも、代表者の人となりも分かっている小さい事務所が選ばれやすいと思います。

 

 

③    土地家屋調査士の頭の中

土地家屋調査士の立場から考えると次のような感じになります。

 

・大手不動産会社の宅地分譲事業など、自社でお金を払う場仕事は往々にして安い。

また、サービス業務が多く、納期が短い傾向がある割に、ある程度高い品質を求められる。

 

・宅地分譲事業など不動産業者が、業務を依頼する場合では、折衝する人が経営者の場合は金額に厳しい傾向があり、担当者(社員)と折衝する場合は少しだけ金額に優しい。

 

・不動産仲介など依頼者を紹介する人は、金額面でそれほど細かくはないが相場よりも高いとお客さんから苦情が来るので相場より高くなりすぎないように配慮する。

 

・通常より手間が多くかかる顧客は、金額を高めに設定しないと合わない。

メールで済む用事でも呼びつけられる。そもそもメールできない。電話でやたら話が長いなど。

 

・大手企業の売上に依存した経営はリスクが高い。1社の売上比率は20%以下に抑えるのが安全。

 

といったことが挙げられます。