【私道】位置指定道路VS協定道路(但し書き道路)違いって何ですか?

私道の中には協定道路、位置指定道路というのがあります。

 

土地を宅地として利用するためには、道路に2メートル以上接していないと建物を建築が出来ません。

道路とは言っても、アスファルトが敷いていてU字側溝がある道路の形態をしていれば良いというものではなくて、役所の許可を受けている必要があるのです。

そのために私道の場合には、位置指定道路あるいは協定道路の許可が必要になることがあります。

今回は、位置指定道路とは何か、協定道路とは何か、その違いを話します。

ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

1.協定道路とは何か

 

「協定道路」は、近隣の所有者で協定を結び空地(通路)を将来にわたって確保し管理することを前提に建築の許可を受けようとするものです。

「但し書き道路」と言ったほうが馴染む人も多いでしょう。

2018年の法改正の前までは、建築基準法43条の但し書きとして規定されいたので「但し書き道路」と呼ばれていました。

しかし、現行法では43条2項2号に協定道路の規定が書かれています。

そのために、現在では、「協定道路」と言ったほうが相応しいと思いますので、但し書き道路ではなく「協定道路」で統一しますが意味は同じです。

 

本来は、位置指定道路の許可を受けて建築をすべきところです。

しかし、位置指定道路の基準を満たすことが出来ないと認められた場合にやむを得ず協定道路の許可を受けられることがあります。

位置指定道路の基準に満たない例としては、現況で道路の幅が4mない。

既に建物が建っていて隅切りをつくることができない。

行き止まりの道路で、自動車の向きを変えるための回転広場を作れない。

など、次に位置指定道路の基準についてお話しますが、あくまでも基準をクリア出来ないときの救済措置として「協定道路」の許可を受けられることがあるのです。

決して、「協定道路」の基準が低い簡単だから、位置指定道路ではなく「協定道路」の許可を取るということではありません。

 

また「協定道路」は、建築基準法上の道路ではありません。

あくまでも、今は位置指定道路の許可基準に満たない。

しかし将来、位置指定道路の基準を満たす暫くの間、建築ができるようにするための救済措置です。

建築基準法上は、道路ではありませんので「空地(空間)」という言葉を使います。

銀行によって、融資を受けられる受けられないということがあるでしょう。

土地の価格としても、協定道路に面している土地は評価が低く、位置指定道路や公道に面している土地のほうが高く評価されるのです。

 

将来、位置指定道路の許可基準をクリアすれば、位置指定道路の申請をすることを前提に暫定的に「協定道路」として認められることとなります。

 

 

 

 

2.位置指定道路とは何か

 

位置指定道路は、市や県、国が所有する公道ではなく、私道に該当します。

建築基準法上の道路に2m以上接していないと建物を建築が出来ません。

このことを接道義務と言います。

そのために、行政から道路位置の指定を受けることが必要です。

位置指定道路の許可を受けるためには、後に詳しく話しますが幅員、隅切り、行き止まり道路のときには回転広場をつくるといった基準を満たす必要があります。

 

例えば、新たに500㎡の土地に道路を造って4つの宅地の分譲を行いたい。

という場合には、位置指定道路の許可が必要です。

 

開発許可との兼ね合いについて

利用する宅地と道路の面積を合わせて一定面積を超えた場合は、都市計画法の開発許可が必要です。

面積の基準は、市街化区域で三大都市圏では500㎡以上、その他の地域では1000㎡、さらに条例で300㎡以上と別の面積の制限をしている市町村もあります。

開発許可が必要な場合は、開発道路となり都市計画法の基準です。

 

位置指定道路とは別の基準となります。

 

 

3.位置指定道路の基準

道路位置の指定を受けるためには、許可の基準を満たした上で行政に申請をする必要があります。

また、地域の条例などで独特の基準もあるので、許可を受ける市町村で確認をする必要があります。

①    道路の形態について

・道路の幅員

有効な幅で4m以上確保する必要があります。

L型側溝の立ち上がりの部分、排水ブロックの高さが100mmの場合は幅員に含めないことがります。

あくまでも、通行が可能な有効な幅員で4m以上が必要になるということです。

 

・隅切り

道路の両側に2m×2mの二等辺三角形の隅切りを設けることが必要です。

隅切りが、片側にだけしか作れない場合は、3m×3mの二等辺三角形にすることがあります。あるいは、市町村によっては片側だけの隅切りを認めず、必ず両隅切りにするように指導されることもあるので注意が必要です。

 

・袋小路では回転広場が必要

通り抜けが出来ない行き止まりの道路で、長さが35mを超える場合に自動車の向きを変えるための回転広場が必要になります。

例えば、道路の長さが40mの場合には、35m未満のところで一箇所、さらに終端で1箇所の合計2箇所つくる必要があります。

 

・ぬかるまない構造と配水施設

道路の路盤については、アルファルト舗装もしくは砂利などのぬかるまない構造です。

さらに道路の端には、U字側溝やL型側溝などの配水施設を設ける必要があります。

 

②    分筆登記について

道路位置の指定を受ける部分を分筆登記する必要があります。

古い時代に許可を受けているところでは、分筆登記がされていない位置指定道路を見ることがあります。

しかし、今の許可基準では必ず分筆登記をすることになります。

新しく、宅地分譲地を形成するところでは分筆登記は特に問題はありません。

ところが、既に住宅が建ち並んでいるところでは、地権者の数も多く分筆登記に多額の費用がかかることもあるでしょう。

 

 

③    道路内の構造物

位置指定道路の中には、電柱、街路灯、ブロック塀などの構造物を設けることは出来ません。

既にある電柱や街路灯は、宅地内に移動する。

道路にはみ出したブロック塀は、取り壊す必要があります。

 

 

④    既存建築物の法律の適合性

道路に接している既にある建物が、建築基準法に違反することとなる場合、位置指定道路の許可を受けることは出来ません。

例えば、道路高さ制限、あるいは道路斜線制限とも言います。

道路の反対側から、斜めに線を引きます。

斜線は1:1.25または1:1.5で用途地域によって違います。

その車線を引いた中には建物が建てられません。

つまり、位置指定道路の許可を受けることで既にある建物が違法建築物になってしまうことがあります。

違法建築となってしまう場合には、既存不適格として位置指定道路道路の許可を受けることは出来ません。

 

 

⑤    関係権利者の承諾

位置指定道路の許可を受ける土地の所有者、抵当権者の承諾が必要です。

承諾については、実印で押印して印鑑証明書の提出も必要となります。

さらに、許可を受ける位置指定道路に沿接(実際に利用)している土地・建物の所有者も承諾が必要です。

 

協定道路の場合も承諾は必要になりますが、抵当権者の承諾までは不要なことがあり市町村によっても違いもあります。

 

 

 

 

以上、協定道路と位置指定道路、それぞれの特徴と違いについてお話をしてきました。

 

・協定道路は、幅員4mの確保が出来ないなどの位置指定道路の基準をクリアするのが困難であると行政が認めたときに許可がされる。

協定道路のほうが許可の基準が低いから協定道路にするということではありません。

・位置指定道路の基準については、幅員4m以上、隅切り、行き止まり道路の場合の回転広場、分筆登記が必要、道路内に構造物がないこと、既存建築物の法律の適合性などがあります。

 

私道に、接している土地にお住まいの人、あるいは私道に接する土地の購入を検討している人については、協定道路または位置指定道路なのかあるいは道路の許可を受けていない道路なのか確認をしてみてはいかがでしょう。