境界立会でこんなこと言われちゃいました
「うちには関係ないから、そちらの敷地の中だけで測量をして、うちの敷地には入らないで下さい」
隣の人から、こんなこと言われちゃった~。
隣の敷地に入らないと測量できないし、どぼじよ~。
はい。こんなふうに困ったことを隣の人から言われることがあります。
当然、隣の家の敷地に入らせて貰わなければ測量が出来ないので困るわけです。
測量で、近隣の人に挨拶をするとき、境界立会のときにいろんなことを言われます。
例えば、
「この杭は私が知らない間に勝手に入れられたもので境界ではありません」
「所有者の人は来ないの?挨拶もないんだけど」
「杭は隣の人が少しづつ動かしています。境界線は1mくらい隣の敷地側です」
「遠くから立会に行くんだけど日当や交通費は出ないの」
他にも困ったことを言われる場面は沢山あります。
そんなときに、どのように考えて対応しているのかをお話します。
是非、最後までご覧ください。
1.この杭は私が知らない間に勝手に入れられたもので境界ではありません
これは、ほとんどの人は言われた経験はあるのではないでしょうか。
背景には3パターンあると考えています。
① 括弧書きがあるパターン
「この杭は私が知らない間に勝手に入れられたもので境界ではありません」
(私の親が立会しているかも知れませんが私は知りません)
嘘は言っていないが、必要な情報を言わない。
もしくは、親が立会していることを忘れている。
あるいは、本当に親が立会したことを知らなくて、本人からすると気がついたら杭が入ってた。
このパターンであれば、「平成20年に測量した図面が法務局にあります。」
「このときに境界標を設置している可能性が高いのですが、この時点で所有者であったお父様が立会したということはないでしょうか」
問いかけることで、「そうかも知れない」と納得していただけることもあります。
② 本当に知らないうちに勝手に入れられた
境界に設置する金属プレート、コンクリート杭というのは、ホームセンターに行けば普通に売っていて誰でも購入することが出来ます。
そのために、知らない間に勝手に入れられるということはあり得ます。
隣地の所有者が入れるか、関係者が入れるかという話です。
私の感覚で言うと隣地の所有者が境界を入れるということは殆どなくて、関係者が入れたと思われる状況を何度か見たことがあります。
例えば、土地の売却をするためには「境界はここです」という明示が必要なのです。
そこで土地家屋調査士に測量の見積もりを取ったら60万円でした。
売主さんに「そんなお金が掛かるなら売らない」と言われてしまう。
そこで売買を成立させたい関係者が、境界を入れてしまうというのを見たことはあります。
あるいは、建物の建築工事では完了検査というのがあります。
完了検査の際に、境界標がないと駄目なことがあるらしいです。
そういった検査の目的で「完了検査用に、一時的に境界を設置してほしい」と言われたことはあります。
もちろん「隣の人と境界確認をしないと設置は出来ません」とお断りはしています。
土地家屋調査士が、隣の人に無断で境界標を設置することはないとは思いますが、他の関係者が設置している可能性はあり得るとは思います。
日頃業務を行っている上で、実際に「不自然な境界標」を見かけることがあります。
プレートやコンクリート杭を見て「設置の仕方が素人っぽいな」「設置されている位置が明らかに境界とは違う」というような不自然な境界を見ることがあります。
他人が、勝手に境界を入れているということも実際にあり得るので注意が必要です。
2.所有者の人は来ないの?挨拶もないんだけど
これは結構言われます。
まず、境界立会に所有者が来たほうが良いのかです。
所有者さんが現地に住んでいる状況や昔住んでいて隣の人と顔見知りの場合、あるいは交流があるという場合には立会に来ていただいてほうが良いです。
私も、境界立会には出来るだけ来ていただくようにお勧めします。
ただし、どうしても境界立会に出たくない、忙しい、煩わしいと思う人もいるでしょう。
その場合には、土地家屋調査士で代理して境界立会を行います。
出来れば、所有者さんから「測量をするので、境界線の確認とかご面倒をかけますがよろしくお願いします」などひと言、隣の人に挨拶をしていただけると助かるというところです。
つぎに、お隣の人の心の中。
いくつかのパターンはあると思います。
取り敢えず、突っ込めるところを探して文句を言いたいというのもあるでしょう。
あるいは、本当に隣同士の仲が悪くて「業者任せにして本人は出てこないのか」と思っていることもあります。
隣同士で、過去に何か因縁みたいなものを抱えていることもあるでしょう。
以前、境界立会を応じていないことがあって今度は立場が逆になり境界立会をお願いする立場になることもあるのです。
境界立会の場面で、地主同士の大喧嘩が始まってしまったことがありました。
大喧嘩になってしまったケースは、測量の依頼者が過去に境界立会に応じなかったという経緯があったのでです。
測量で、立場が逆になったケースをお話します。
以前、立会を拒絶した側が、測量が必要になって今回は境界立会をお願いする側になるという場面です。
これは、土地家屋調査士としては、一番嫌なパターンですね。
立会当日の場面、所有者同士は目も合わせない状態です。
それでも、最初は淡々と進んでいきました。
私から「測量をした結果境界はここです。根拠としては・・・」と話を進めてこのまま終わるかなと思いました。
そのとき、測量の依頼者が何気なく発したひと言に反応したんです。
「あんたね10年前に私は何度もお願いしたじゃないか、あんた一体何さまのつもりだ」と体から怒りの炎が見えるかと思うくらいキレたんです。
当然に、境界確認は出来ずに不調という結果となりました。
「所有者の人は来ないの?挨拶もないんだけど」という言葉には、ただ文句を言いたいという人もいるし、何かしらの遺恨があるということもあります。
3.私の図面と測量の数値が違う
例えば、「私が持っている図面とあなたの測量では数値が違います。」と言われることがあります。
まずは、相手を肯定、共感する言葉を言います。
「確かに、お持ちの図面と1cm違います。気になりますよね。」
その後は、状況に応じて説明をしていきます。
「建築の設計図面の場合は、塀などの現況で測量をして境界立会までしていないことが多いのです。建物を建築した時に境界立会をした記憶はありますか?」
あるいは、図面が古い場合には「図面を作成した昭和50年くらいの測量ですと、巻き尺を使ったテープ測量でいたので、今の光波(光線で距離を測る)方法とでは、測量の精度が違います。」と言った説明もできるでしょう。
古い図面では、辺長や三角形の底辺、高さが5cm単位、10cm単位で書かれていることがあります。
辺長などの数字を見れば分かりますので、「5cm単位で書かれているようなので、5cm未満は切り捨てあるいは四捨五入されています」という説明になります。
状況によって、説明も変わってきます。
沢山、説明のカードを持っておく必要があるでしょう。
そして、隣地の境界線の主張に対して、簡単にこちらの主張を変えないことも大切です。
4.うちには関係ないから、そちらの敷地の中だけで測量をして、私の敷地には入らないで
このパターンの8割くらいは、「最初の段階で一発噛ましてやろう」というパターンです。
60代以降の昭和時代を生き抜いてきた人にあるあるのパターンです。
取り敢えず、最初に会った人に「俺は一筋縄ではいかんぞ!舐めんなよ」というメッセージを出したいのでしょう。
本当に、「俺の敷地には入れせん」と思っているわけではありません。
なので、2回、3回会って話しているうちにだんだん態度が軟化してくるというのが殆どなのです。
残りの2割位は神経質な人、あるいは隣同士もともと仲が悪い何かしらの遺恨があるという可能性もあるでしょう。
5.立会用の木杭を入れて怒られる
境界立会の前に、説明をするために木杭、ペンキ、土に金属鋲を指して境界のポイントを分かるようにします。
仮の境界として明示したことについて、隣の人が「何、勝手に木杭を打っているんだ!」と言われることがあります。
もちろん「木杭は、境界線の説明をするために仮で打ったものです」と説明をしますが、なかなか一度怒り出した人を抑えるのは大変なものです。
やはり境界に関することは、あまり近隣の人を刺激しないように進めていくのが良いでしょう。
例えば、木杭を打つのであれば、小さい木杭を選んで地面からあまり突き出ないように深く打ち込んで地表面から突き出ないようにする。
木杭ではなくて、地面に金属の鋲を指して仮の境界として見てもらうのも良いと思います。
木杭や鋲を入れないところでは、ペンキで印をつけることがあります。
ペンキで印を付ける場合には、出来るだけ小さく付ける、色は黄色や赤色よりも、刺激の少ない青色や白色が良いかと思います。
特に新しく作られたブロック塀やコンクリート土間に、印を付ける場合には出来るだけ目立たないようにする配慮も必要です。
境界に関することについては、出来るだけ近隣を刺激しないように進めていくのが良いでしょう。
6.トラバー鋲を抜いてくれと言われる
トラバー鋲というのは、測量の機械を設置する位置に打つ金属の鋲のことです。
トラバー鋲は、測量の基準となるポイントです。
その金属鋲を抜いてしまうのは、測量業務に支障をきたすことがあります。
金属鋲って銀色のものが多いのですが、新しいうちはキラキラ光って目立つんですよね。
近隣の人からすると「なにこれ気になる邪魔なんだけど」と言う感じで、抜いてくれと言われてしまうことがあります。
おおよそ苦情があるのは、出入り口の付近や境界の付近です。
そういった苦情がありそうなところでは、金属鋲は金色の小さなものを使います。
金色の鋲の場合は、アスファルトの色と同化しやすくて目立たないので近隣の人から苦情を言われることは殆どありません。
また、ペンキでT1とかT2といった測量ポイントの名称を書きます。
そういったペンキを使う場合も、青色や白色など刺激が少ない色を使うのも良いでしょう。
測量作業も出来るだけ、近隣を刺激しないように配慮するのも大切だと思います。
7.日当や交通費を要求される
境界立会を依頼すると日当や交通費を要求してくる人はいます。
確かに、現地まで遠い人の場合、要求したい気持ちになるのは分からなくはありません。
しかし、境界立会というのはお互いの財産の保全のためにするのであって一方的なお願いではありません。
また、境界線が確定することで隣りの人にとっても本来は測量費用を支払って行わなければならないことを無料で行うことができる利益もあります。
私としては、タオルなどの粗品程度はお渡ししますが、こちらから隣地の所有者に金品を提供することはありません。
しかしながら、隣地の人から交通費や日当を要求された場合には、円滑に業務を進めるためにも依頼者に相談して負担していただくことが殆です。
基本的には、境界立会で金品の支払いはありませんが、円滑に業務を進めるために依頼者に負担していただくことがあります。
8.私の土地の面積が減っていないか心配なので測ってほしい
100㎡くらいの住宅が、建ち並んでいるところでは境界点間の辺長や面積の関係を把握するために周辺の土地まで測定することはあります。
ただし、隣が500㎡とか1000㎡の大きな土地となってきますと話は違います。
そう言ったように、大きな土地の面積の確認をしたいということであれば、やはり隣の人に「測量費用がかかりますがよろしいですか」という話になります。
どうしても、お隣の人に費用負担を頂けないようであれば、依頼者に追加費用で負担してもらうことになるでしょう。
9.みんなが印鑑を押したら、私も承諾をします
境界線のことを説明されてもよくわからないし、印鑑を押すのは怖い、最初に承諾する人にはなりたくないとう考えもあるでしょう。
「みんなが印鑑を押すのであれば大丈夫かな」という安心感もあると思います。
中には、「私を特別扱いしなさい」という心理の人もいるかも知れません。
いずれにしても、出来るだけ希望に添えるように対応していくことになります。
しかし、「あの人が印鑑押したら私も承諾します」のような牽制されてしまうとなかなか前に進みませんので、何とかお願いほかないということになります。
10.隣の人と一緒に境界立会をします
境界立会するときには、立会をする日程は同じ日になるように設定して、15分間隔くらいで1人または2人くらいごとに行っていきます。
例えば、午後2時からAさん、2時15分からBさんとCさん、2時30分からDさんのような感じで、同じ時間に大人数を集めないんです。
同じ時間に集めてしまうと、なかなか対応が出来なくて立会に来た人をお待たせすることになるので、同じ時間には集めずに時間差を設けます。
そのときに、隣の人と共通の境界ポイントを確認するときに、「一緒に確認をしたい」と言われることがあります。
隣の人がどんな意見を持っているのか確認したい。
自分だけで、隣の人と共通する境界ポイントを決めたくない。
そういった境界についてのお考えがあると思います。
そのような一緒に境界の確認をしたいという要望があれば、出来るだけ同じ時間に立会できるように配慮すると言うことになります。
11.お叱りを受ける。怒鳴られる。罵倒される。
測量の作業や境界立会の場面で、近隣の人からお叱りを受ける場面というのはあります。
やはり、急に隣の家が測量を初めたとなると「売るのか?建物を建てるのか?何をするんだろう」と不安な気持ちにはなると思います。
また境界線のことについても、一般の人からすれと説明をされても良く解らないし承諾してしまって良いのだろうかという不安な気持ちにもなるでしょう。
そういった不安や恐れからも怒りという感情として表現されることもあるでしょう。
たまたま機嫌が悪い、日頃のストレスを言い返せない立場の人間に怒りをぶつけてくることもあるのです。
例えば
「測量の案内なんか勝手にポストに入れるなよ」
「なんで道路の反対側まで境界立会するんだ関係ないだろう」
「境界立会の日をなんでそちらが勝手に決めるんだ、こっちの都合に合わせるのが普通だろう」
などなど、怒り出す場面というのはいくらでもあります。
私の場合は、怒りをぶつけてくる人に対してはもっと怒るように誘導するということをします。
これは、脳科学者の中野信子さんが仰っていました。
もっと怒らせてちょっと言い過ぎたと相手の後ろめたさを引き出すところまで言わせます。
人間、ずっと怒っていられませんから5分、10分もすれば必ず落ち着いてきます。
その落ち着いてきたタイミングで、こちらが主張すべきことを主張するのです。
怒っている相手をもっと怒らせるという方法は、かなり成功確率が高いです。
12.プレート剥がれないの
境界の標識を設置するときには、出来るだけ地中にコンクリート杭を設置します。
しかしながら、境界の位置に塀やU字側溝などの障害物がある場合には、コンクリート杭を設置することは出来ません。
どうしても設置できない場合には、金属製のプレートを設置することがあります。
金属プレートの場合は、状況によって剥がれ落ちてしまうこともあるでしょう。
車が乗り入れるところに設置する場合には、アンカー付きのプレートでU字側溝などにドリルで穴を開けて設置することで、剥がれにくく出来ます。
また、古いブロック塀に設置する場合には、ブロックの表面がゴツゴツした感じになっておりボンドで接着しにくい状態のこともあるでしょう。
そういった古いブロック塀にプレートを設置する場合には、金ブラシや平タガネなどでゴツゴツした部分をよく削って出来るだけ平らにしてプレートとの接着がしやすくなるようにします。
また、古いブロック塀に境界標を設置する場合には、ドリルで穴を開けて金属鋲を設置するのも有効です。ブロックの内部に深く入ることでプレートよりも取れにくい状態で設置できます。
境界を示す金属プレートでも、設置の方法でより取れない状態にすることも可能です。
また、ブロック塀を壊すことで金属プレートが無くなるという心配もあるでしょう。
事前に測量がされていれば、仮に境界のプレートが無くなったとしても同じ位置を復元することが可能です。
ご心配であれば、測量して図面を残しておくことをお勧めいたします。
13.杭は隣の人が少しづつ移動してます。境界は1mくらい隣の敷地側です
工事業者が動かしている可能性、本当に隣の人が動かしている可能性。
他には、隣の人が動かしたと思い込んでいる可能性もあるでしょう。
それぞれ個別に考えてみたいと思います。
- 工事業者が動かしている可能性
上水道、下水道、建物の解体などの工事をするに当たって、境界標を動かしてしまう、あるいは抜いてしまうということはあります。
通常は、境界標の移動、亡失があった場合には、測量して土地の所有者と立ち会いの元に境界を復元する流れになるでしょう。
ところが残念な話ではありますが、工事業者の中には動かしてしまった境界標をそのままにする。
あるいは、抜いてしまった境界を工事業者が本来の境界とは違う位置に入れてしまうということもあり得るでしょう。
なぜなら、測量をすればお金がかかりますから、仮に境界が動いたとしても何事もなかったかのように、放置することも考えられます。
最近では、コンプライアンス違反の問題が多く取り沙汰されていますから、そういった不法行為をする業者は殆どいなくなりました。
ただし、10年、20年前までは、そういった倫理的にどうかと思える工事業者も多く存在していたのも事実です。
工事によって、境界標が本来と違う位置にある可能性というのもあるのです。
- 隣の人が動かしている可能性
仮に、隣の人がコンクリート製の境界杭を動かしたと考えてみましょう。
コンクリートの杭というのは、通常はほぼ垂直に入っています。
地中にブロック塀の基礎などの障害物があって、やむを得ずに斜めにコンクリート杭が設置されていることはある可能性もあります。
しかし、普通は垂直にコンクリート杭を設置するわけです。
例えば、コンクリート杭を10cm動かすと相当斜めになっていると違和感があります。
コンクリート杭というのは、垂直に立っていますから上だけを動かそうとすると斜めになっていきますので違和感が出ます。
仮に30cm動かそうと思ったら、一度杭を抜いて新しく入れ直すことになるでしょう。
杭の入れ替え作業というのは一般の人だとかなり難しいようにも思います。
隣の人が、5cm程度動かすにしてもスコップや1mくらいの大きな鉄の棒(バール)などの工具を使って、動かすのはかなり大変な作業になるでしょう。
隣の人が、境界杭を動かす可能性はゼロではありませんが、かなり低いと思います。
- 隣の人が動かしたと思い込んでいる可能性
思い込みの可能性というのは、実は多いのです。
隣の人が怪しい動きをしているところから、隣の人が境界を動かしているのではないか、境界を動かしたに違いないなど、人の記憶は思い出すたびに少しづつ変換されていくことはあります。
人間の記憶って、何かを思い出すたびに少し変更をして記憶に保存していくらしいのです。
思い出して少し変更して保存をするということをくり返すうちに、まったく事実とは違う記憶してしまうということが起こります。
14.私の境界立会の持論
①下手に出ない
「すみません。すみません。」コメツキバッタみたいにペコペコすると相手は「この人、自信がないんだ」と思うんです。
「すみません」は使わずに「ありがとうございます」に変換する。
「お忙しいところすみません」ではなくて「お忙しいところありがとうございます」です。
境界立会の場面では、ペコペコ下手に出るのではなくて、堂々と振る舞うということが大切です。
② 短い言葉でスパッと言い切る
曖昧な表現でダラダラ話すと相手は不安になります。
「おそらく、思います、考えられます」と言った曖昧な表現は使わないようにしています。
またダラダラと長い話は相手にこの人の言うことを信用して良いのかという不安を感じさせます。
例えば「ブロック塀がありますし、法務局にある測量図の数値とも合っているので、境界については、おそらくここだと思われるのですが、境界についてこちらのポイントでよろしいでしょうか」みたいな感じで、ダラダラ言われるとこの人、大丈夫かなという印象になってしまします。
「私が調査と測量した結果、境界はここです」とスパッと言い切ります。
言い切った後に理由を話す。
「法務局に平成◯年の測量図があって、図面の数値から復元すると境界ここになります。ブロック塀の位置とも一致しておりますので、この位置で間違いありません」
といった境界を決めた理由をいくつか話すというパターンです。
曖昧な表現は使わずに、短い言葉でスパッと言い切るということが大事だと思います。
③ 簡単に主張を変えない
境界立会をしていると中には、なんだかんだ理由をつけて境界を押してこうとする人もいます。
「登記されている面積より減っているのだから、確保できるように境界を動かしてほしい」
「私の家の建築したときの図面より間口が1cm少ないから、建築図面に合わせてほしい」
「亡くなった父親の話だと境界は、塀の中心ではなくて塀から10cmそちらの敷地側だと聞いている」などなど、いろんなことを言ってきます。
もちろん、隣地所有者の証言も境界を認定する上で重要な要素ではあります。
しかしながら、こちらとしては依頼者の証言、既存杭や塀などの構造物の状況、既にある測量図面との整合性などを総合的に判断して境界を認定しています。
隣地の人の話は、きちんと聴き取りをした上で、こちらの主張すべきところは主張する。
隣地の人に言われたから、簡単に主張を変えるというのは良くないと思います。
④ 相手に従ったふりをして結局は何も変えないという戦略というのもあります。
昔々、ルネサンスの時代にミケランジェロという彫刻家がダビデ像を造ったときのエピソードなんです。
彫刻の依頼者である王様が、ミケランジェロに対して「ダビデ像の鼻が少し高いんじゃないか」と文句を言い出したんですね。
そのときにミケランジェロの取った方策は、こっそりと石膏の粉をポケットに入れてハシゴに登ってノミの音をカーンと響かせると同時に石膏の粉をパラパラと落としました。
すると王様は、1mmも鼻の高さは変わっていないのに満足して帰って行った。
結局、王様は鼻の高さよりも「自分の影響が相手に及んだ」ことに満足したのです。
このエピソードを土地家屋調査士の仕事に置き換えるなら、隣の人に「私の記憶では境界はもう2,3cmそちらの敷地側だと思う」と言われたときにどう対応するのかです。
境界については、動かすことは出来ないが相手の何か役に立てることを考えるのはどうだろうかと思います。
今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/
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