悲報【懲戒処分】になっちゃった!土地家屋調査士の処分事例

土地家屋調査士にとって、1番怖いのは懲戒処分です。

懲戒処分になると実名入りで、告示されてインターネットでも簡単に調べることもできます。
http://www.chosashi.or.jp/gaiyou/disclosure_new/
実名入りで公表されることで、業務の依頼がされにくくなるという社会的な制裁もあります。
また、業務停止の処分になりますと今取引をされているお客様にも迷惑がかかりますし、
今後、取引を継続するのは難しいということになります。

今回の動画を見ていただければ、法務大臣のする土地家屋調査士の懲戒処分の種類、
処分を受ける人の傾向、懲戒処分の事例と処分内容を紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。

私は、法務大臣の懲戒処分を受けた経験はありません。
綱紀委員会に、審議をかけられたとういうことがあります。
その内容については過去に動画で話してますが、結果としては懲戒処分の対象にはなりませんでした。
しかし、そうした審議を受けた経験から、
本当に、日常の業務によほど注意していないと懲戒処分は他人事ではないと思います。

それでは懲戒処分の3つのポイント

1つ目は、懲戒処分の種類です。
懲戒処分というのは、現行法では法務大臣が処分をするもので、
戒告処分、業務停止処分、業務禁止処分というのがあります。

戒告処分は、再びあやまちのないよう戒める処分です。
業務停止処分は2年以内の期間を定めて、土地家屋調査士の業務をすることができません。
停止期間中は、事務所に「土地家屋調査士の事務所」である旨の表示をすることはできません。

業務の禁止処分です。土地家屋調査士としての登録が取り消されます。

2つ目は、懲戒処分を受ける人の傾向です。
平成27年4月1日~平成30年3月31日までのデータからご紹介します。
年齢別の被処分者の割合です。
年齢30代、40代が調査士全体の30%なのに対して処分を受けた人が22%
年齢50代が調査士全体の20%に対して処分を受けた人が15%
年齢60代、70代、80代が調査士全体の50%に対して処分を受けた人が59%
となっています。
傾向としては、若い世代は被処分者の割合が少なくて、年齢層が高くなると被処分者の割合が高くなるという結果になっています。
これは若い世代の人は先に働く期間が長い分だけ将来を考えて資格を大切にする。
年配の人にとっては先が短い分、目先の仕事を処理することに注視して、荒い仕事をするのではないかと思います。

ここ数年で、世の中のコンプライアンスの意識が高まっている。
若い世代は当然のように法令を遵守するのに対して、
年配の人は昔からの仕事の意識が抜けずに、相変わらず法令に対してゆるい感覚を変えられない人がいるのではないかと思います。

つづいて違反行為の状況です。
受任拒否、不当に依頼を誘致 0%
受託事件の放置 1.8%
補助者の監督責任又は未登録補助者の使用 5.5%
戸籍等の不正請求 6.0%
業務停止期間中の業務 6.0%
報酬の不当受領 6.0%
業務外行為 9.7%
名義貸し他人による業務 13.3%
現地確認・筆界確認義務違反 13.3%
公文書・私文書の偽造 17.6%
会則違反 17.6%
申請意思確認又は本人確認義務違反 19.4%
となっています。

個人的には、受任拒否が0%ということでホッとしております。
「土地家屋調査士は正当な理由なく依頼を拒んではならない」とされているんですが、
私は、かなりの確率で依頼をお断りするタイプです。

話をしていて、人としての誠実さを感じないとか
態度が非常に横柄だとか
お金払えないだろうな
とか言う場合に、本当のことを言ってお断りすることもあるんですけど逆ギレされることもあるので、
だいたい、忙しいとか、体調が優れないとか別の正当理由を告げることになります。
できれば、この法律条文は削除してほしいなというのが個人的な意見です。

本人確認義務違反とか、文章の偽造であったりとか、
依頼者、関係業者の圧力に屈していることが多いのではないかと思います。
いろんなことを言って圧力をかけてくる人はいます。
「期間内に終わらないと大損害だぞ」とか
「この先、取引しないぞ」とか
依頼者、関係業者とは主従関係ではなく対等な立場でいること。
圧力で相手をコントロールするような危険な人物とは付き合わない。
ということが大事だと思います。

3つ目は、懲戒処分の事例と処分内容についてです。

①現地確認義務違反で業務停止3ヶ月になった事例です。
附属建物の滅失を原因として、平成26年5月14日に登記を申請したが、
平成26年1月23日にすでに滅失登記が行われていた。
登記情報と現地の調査を怠ったことと、平成26年の事件簿を廃棄していた。
事件簿って、調査士はその事件の帳簿を作成して保管する義務があるんですけど、それを怠ったということです。

この調査士は、過去にも懲戒処分の前歴があり、業務停止3ヶ月ときびしい処分となっています。

②業務外行為(酒気帯び運転)で業務停止2ヶ月になった事例
飲食店でボトルワインを2本飲んで、その後、自宅兼事務所に戻って測量データの整理を行います。
その後、コンビニに行くため、よせばいいのに車に乗るんですね。
事務所の道路を挟んで、反対側の石垣に車を衝突させます。
近所の住民から警察に通報されて、警察が到着し、聴取。
30万円の罰金、運転免許の取消し、そして調査士業務停止2ヶ月です。
コンビニ歩いて行けばよかったのに、残念。

土地家屋調査士の業務に関することでなくても、
法律に違反すると懲戒処分の対象になります。

③公文書・私文書偽造で業務禁止処分になった事例
これは結構ひどい事例です。
この調査士は乙建設工業から平成26年9月頃までの間に完了させるように、地積更正登記の依頼を受けます。
10月に乙建設工業から依頼した業務について問い合わせを受ける。
この調査士は、登記情報をスキャナで読み取って、地積更正登記が完了しているかのごとく登記情報の書面を偽造して完了を装った。
そして、この調査士はスキャナとプリンターを使って、委任状、筆界確認書、道路境界確認書を偽造して法務局に地積更正登記を申請する。
法務局は、その地積更正登記の申請を却下する。

一発で、業務禁止が相当なすごい事件だと思います。

以上、法務大臣のする土地家屋調査士の懲戒処分の種類、
処分された人の傾向、懲戒処分の事例と処分内容をお話しました。

参考にしていただければ、幸いです。