【建物滅失登記】について土地家屋調査士が解説します。

今回は、建物を取壊した場合の登記、建物滅失登記についての話です。

今回の動画をご覧いただければ、建物滅失登記の内容(申請義務と罰則、申請の時期、抵当権があっても滅失登記できるのか、申請書に添付する書面、申請できる人)
がわかりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

では、建物滅失登記についての5つのポイントです。

1つ目は、申請義務と法的な罰則
建物を取り壊した場合には、その登記名義人は1ヶ月以内に滅失登記を申請しなければいけません。
違反した場合は、10万円以下の過料という罰則規定もあります。

2つ目は、申請できる時期
解体の工事が始まって、壁とか屋根がなくなって、建物として機能しない状態で、
所有者に改修の意思がなければ建物滅失登記ができるということになります。

必ずしも、解体工事が完了して、現地が更地にならなければ申請できるというものではなくて、
解体工事中でも滅失登記は申請できます。

3つ目は、抵当権があっても滅失登記ができるか
滅失登記は、建物が滅失した事実を報告する登記です。
抵当権があったとしても、建物が滅失しているのであれば問題なく滅失登記をすることが出来ます。

その場合に滅失登記に、抵当権者の承諾書は添付する必要は必ずしもありません。
たまに抵当権者の承諾書が用意されていることがありますので、こちらとしてはあれば抵当権者の承諾書を添付するという程度です。

銀行さんによっては、抵当権の抹消登記が完了してから、滅失登記を申請する場合があります。
抵当権が付いたまま滅失登記をするのではなく、抵当権を抹消したという履歴を登記記録に残しておきたい意図があるのかと思います。

4つ目、添付書類です。
代理人から申請をする場合は、委任状を添付します。
また相続人から申請をする場合は、戸籍などの相続証明書が必要です。
この場合の相続証明書は被相続人が死亡したことと相続人の一人であることが証明できれば足ります。
登記記録の住所から変更している場合は、住民票など変更の証明書が必要です。

その他、建物の解体業者の実印を押印した建物滅失証明書と解体業者の印鑑証明書が必要です。

また、火災で消失した場合には、消防署の発行する罹災証明書というのが必要になります。

申請人の印鑑証明書は、申請を担保するために添付するのがベストですが、法律上の決まりはないので、印鑑証明書は必ずしも添付する必要はありません。

5つ目、滅失登記を申請または申し出ができる人です。
申請できるのは、建物の登記名義人、名義人が死亡している場合は、相続人から申請できます。
共有の場合は共有者の一人から、相続人の場合は相続人の内の一人から申請することが出来ます。

登記名義人から建物を買い受けている場合は、登記名義人の売渡証明書と印鑑証明書を添付すれば、
所有権移転登記が未了でも、買受人から申請できるとされています。

また建物敷地の土地所有者から申請できるかですが、土地所有者から滅失の申請は出来ませんが、
滅失登記の申し出をすることで、登記官の職権で滅失登記をすることをお願いすることは出来ます。
この場合は、通常の不動産登記法の申請行為とは違いますので、申請の期間は長くなります。

1つ目は、申請義務と法的な罰則
申請しないと10万円以下の過料です。

2つ目は、解体工事中でも申請できます。

3つ目は、抵当権があっても滅失登記ができます

4つ目、添付書類
委任状
住所が変更している場合は住民票など
相続している場合は戸籍謄本など
解体業者さんの証明書
です。

5つ目、滅失登記を申請また申し出ができる人です。
登記の名義人と相続人です。
例外的に建物を買い受けた人、土地所有者などです。

建物滅失登記をしないで放置していると、
銀行の融資を受けるときに指摘されたり、
土地を売却するときに滅失登記が必要になったり、
固定資産税が取り壊した建物に課税され続けるということが起こります。

建物を取り壊したけど、そのままになっているという場合は、土地家屋調査士にご相談ください。