建物登記する床面積が建築確認申請の設計図の床面積と違う 土地家屋調査士の建物表題登記の実務

今回は、建物の表題登記の調査をしたときに確認申請をしている床面積と登記申請をする床面積が違う場合にどのように考えるかという話です。

あとあと、問題になることがありますので、しっかりと対応する必要があります。

確認申請と登記申請で床面積が違うパターンは大きく分けて2つあります。

 

1つ目は、求積方法の相違です。

建物は確認申請の設計図のとおりに施工されているが、確認申請と登記の申請で床面積の計算が違う場合です。

よくあるのが、ビルトインガレージで、登記の床面積に参入するのは壁が3方向以上にある場合ですが、壁が2方向にしかなかったり、壁に空洞の部分が多くて、外気分断性に欠けているという場合です。
このような場合、登記の申請ではビルトインガレージの部分は、床面積に参入しません。
ところが、確認申請では、床面積に参入していることがあります。

このような場合に、登記の申請の床面積と確認申請のが違うということになります。

特に問題になることは少ないと思いますが、関係者には床面積が相違することをお知らせしておいたほうが良いと思います。

以前は、確認申請の床面積より減ってしまうと融資の担保評価が減ってしまって、銀行の融資の額に影響があると言われたこともありましたが、今では登記の面積が減っても、融資額に影響はないようです。

また床面積が増える場合には、容積率オーバーにならないか。
そのほかの法令に適応できるか確認すると良いと思います。

2つ目は、確認申請の設計と実際の建物施工を変更している。
いわゆる設計変更の場合です。

よくあるパターンとしては、屋根裏部屋やロフトで確認申請の設計図では1.40mと記載をされている。
にもかかわらず、現地では1.5m以上あるということがあります。

不動産登記では、天井までの高さ1.5メートル以上の場合は、階数と床面積に参入します。

このような場合に、現地の建物の通りに、杓子定規に3階建として登記して良いかということです。

3階建とすることで、確認申請上も構造計算が必要であったり、場合によっては容積率オーバーになる可能性もありますし、銀行の融資にも影響がある可能性があります。
銀行の融資というのは、原則は違法な建築物については融資をしないということになります。

事前に建築工事人など関係者に連絡して、そのまま3階建として登記をするか、それとも設計図のとおりに直すかということを確認します。

今は、表題登記の申請に建物の内部の写真を添付します。屋根裏部屋や吹き抜けなどの特殊な部分の写真は必須です。
また、疑わしい部分があるときは、必ず法務局は現地の調査をします。

2階建として登記するには、確実に現地の建物を設計図のとおりに2階建に直す必要があります。

天井を作るか、床を上げるか、入口を完全にふさいでデッドスペースにするか、いずれにしても建物に手を加える必要があります。

以前、このような相談を受けたことがあります。
建築確認申請では、「地下1階付3階建」なのに、土地家屋調査士に「4階建」で登記されてしまった。
「地下1階付3階建」と「4階建」とでは、法令上の制限が変わってきますので、その土地家屋調査士さん大変だったのではないかなと思います。
登記をやり直したのか、融資に支障があったのかそのあとの展開は分かりません。

このように建築確認申請は、他の法令に遵守するように設計されています。

床面積、階数に変更がある場合、登記の申請では問題なくても他の法令で問題になることがあります。

関係者の方々に、打診をしておく必要があると思います。