筆界特定制度 メリットとデメリット
隣の人と境界線の確認ができない。
その理由としては、隣の人が行方不明で連絡がとれない。
隣の人が立会に応じてくれない。
隣の境界線の合意に至らない。
などがあります。
そのような場合の救済措置として、「筆界特定制度」というのがあります。
「筆界特定制度」は、法務局に申請して、筆界VV境界線の確定を公的な判断で行う制度です。
筆界特定制度のメリットとデメリットがあります。
境界線の判断は、申請人(所有者さん)が考えた通りになるとは限りません。
意に添わず、考えていたより、不利な境界線で決まることもあります。
そして、境界線が確定したのちには、それを覆すのはかなり難しいのです。
ただし、隣人関係の影響が少ないというメリットもあります。
当事者の対立構造とは関係なく、客観的に境界(筆界)を判断しますので、隣人関係への悪影響は少ないと思います。
境界線が確定したのちには、それを覆す方法は、境界確定訴訟ですが、これをやっても一度筆界が特定されると覆すのは難しいと思います。
筆界特定で境界線が確定しても、その位置にコンクリート杭などの境界標識が設置されるわけではありません。
境界標識V杭の設置には、隣の人の承諾が必要です。隣の人に拒絶された場合は杭の設置は難しくなります。
筆界が特定されると、申請人と隣の人へ筆界特定書の写しとその内容の通知を通知されます。
そして、特定がされるとその資料が法務局に保管されて誰でも見ることができる公的資料となります。
なので、時効取得など他の紛争になってもその資料を使えます。
資料には、寸法の入った図面、座標値、引照点などが記載されます。
その筆界V境界線については確定しますので、その資料にもとづいた分筆や地積更正の登記ができます。
なので、どうしても境界標識V杭の設置が必要な場合は、10センチ程度分筆して内側に杭を入れることは可能です。
また、多額の費用がかかるということもあります。
筆界特定にかかる費用は、三つあります。
まず、一つ目は最初にかかる申請手数料です。
これは、法務局に収める費用で、申請する土地と相手方の土地の固定資産税の評価額から算出します。
例で言うと、自分と相手方の固定資産税の評価額の合算が仮に7000万円だと、申請手数料は11,200円です。
次に、二つ目は法務局に収める予納金というのがあります。
これは、法務局が行う測量費、調査費の手続き費用を納めなければなりません。
これは、申請してから3か月から6か月後くらいに、法務局から予納金がいくらです。一か月以内に収めてくださいという案内がきます。
一般的には、80万円から130万円くらいだと思ってください。
事案の複雑さや測量の範囲によって違います。
これを一か月以内に収めない場合は、申請が却下されます。
当事者間の話し合いで解決できた場合などは、ここで予納金を納めなければ却下となり、手続きはそこで終了します。
そして、三つ目は申請代理人に支払う報酬です
私たち土地家屋調査士に支払う報酬です。
これは事案によって金額が違います。
100万円から300万円くらいはかかります。
ご依頼の際には、事前に見積もりを出します。
ご依頼のときに、着手金として報酬額の半分はいただきます。
費用の一つ目は申請手数料、二つ目は予納金、三つ目は申請代理人土地家屋調査士の報酬です。
どれくらい時間がかかるかです。
申請して筆界が特定されるまでの時間ですが、
事案の複雑さや、申請の込み具合によって違います。
おおよそ1年から1年半くらいかかると思ってください。
境界確定訴訟の場合は、期間が2年以上はかかります。
それよりは短く済むと思います。
筆界特定のご相談は、お近くの法務局の相談窓口または土地家屋調査士にご相談ください。