新築工事で建物表題登記ができるタイミングは?
建物の建築の通常の流れとしては、建物建築がほぼ完成状態になって、私たち土地家屋調査士が建物の表題登記をする。
その後に、所有権保存登記と抵当権設定登記、銀行の融資の実行、工務店さんへ建築代金の支払い、建築主さんへ建物の引き渡しを同時に行うのが通常の流れです。
これを決済すると言ってます。
例外で、表題登記の前に融資を実行する場合もありますが、これは少数です。
通常は、表題登記後に引渡などをすべて同時に行います。
工務店さん、資金繰りの関係もあって早く表題登記をしてほしい。
銀行さんも、翌月にまたがると金利が変更になってややこしい。
月末までに決済したいというのがあるようです。
土地家屋調査士の立場としては、いやいや工事がある程度の段階に達してないと登記できません。
という話になります。
では、表題登記を申請できるのはタイミングはどの段階かというと、
「建物がその用途に供しうる状態」にまでに、工事が進めば登記できるということになります。
具体的に言うと、
「居宅」で言えば、住める状態。
「倉庫」で言えば、物を保管できる状態。
立体の「駐車場」で言えば、車を駐車できる状態。
ということになります。
「居宅」の場合を具体的な事例で説明します。
これは、「建物認定」という財団法人民事法務協会が発行している本です。
法務局の登記官や土地家屋調査士は、基本この本に基づいて判断しています。
この本によると、
まず外装に、ついてです。
外壁が貼られていない。防水シートがむき出しになっている状態。
この状態では、まだ登記はできません。
外壁のサイディング等が貼り終わった状態。
この状態であれば、あくまで外観については、登記可能な状態と言えます。
足場については、撤去してなくても登記が可能です。
次に内装に、ついてです。
内装は、このように断熱材がむき出しの状態であったり、壁の下地として石こうボード、ベニヤ板がむき出しになっている状態では登記ができません。
次にクロス壁が貼り終わった状態で、畳が入ってなくて、電灯器具なども取り付けられていない。
この状態だと登記できるかは微妙です。
電灯器具が取り付けられて、クロスの工事が完成している。
トイレ、キッチン、お風呂の水回りの工事が完成している。
この状態であれば完全に登記ができるといえます。
土地家屋調査士が建物表題登記を申請したのちに、法務局の登記官が現地の実地調査することになります。
感覚で言うと大体半分くらいの申請案件について、実地調査を行っていると思われます。
この実地調査で、法務局の登記官に建物がまだ登記できる状態ではないと判断されると、申請は取下げすることになって帰って時間がかかります。
じゃあヒットアンドラン的に、建物はまだできてないけど申請する。
それで、法務局の登記官が実地調査をする3日後くらいまでに完成さるという考えをする人もいます。
私たち土地家屋調査士が申請する場合は、申請に建物の外装、内装の写真を添付しますので、そういうヒットエンドラン的なことはできないと思ってください。
建物の内装工事って、三階建てであれば、3階⇒2階⇒1階って、上から順に仕上げていくんですよね。
3階部分のできてる部分の写真を添付して申請すればいいんじゃないか。ということも考えられます。
まあ、そういうテクニックをお持ちの方もいるようです。
私はやりません。
やはり、早く登記をして決済を終わらせるためには、早く工事をするほかありません。
工務店さん。早めの登記の依頼、早めに必要書類をそろえる、早めの工事をお願いしまーす。
今日も、見ていただいてありがとうございます。
これからも情報を発信します。